生命保険に関する苦情・相談件数は前年比横ばい

田中 一司
2021.11.29

生命保険関連の相談についての現状
 国民生活センターのWebサイトによると、生命保険関連の相談件数は2021年6月30日現在で978件であった。前年同期は1,029件であり、件数はおおむね横ばいである。2020年度は全体で、6,066件であり、2021年度も同程度の件数が予想される。

 相談の内容は、高齢者に関するもの、外貨建保険などのリスクのある商品に関するもの、その他商品が希望のものと異なることによるものなどである。

 高齢者に関する相談は、毎年多くの苦情等が発生しており、生命保険業界全体として、対応に努めているところである。また、外貨建保険についても、毎年苦情の事例が公表されている。

 これらの問題の根本は、募集時に十分な説明を行い、理解・納得の上で加入いただいているかどうかということに尽きる。当然のことではあるが、難しい部分があることも事実である。

 契約予定者の生命保険に関する知識は、それぞれ大きく異なり、また、募集人の説明に対してどれだけ理解いただけているかもまちまちである。説明を行いながら、随時それまでの説明に関する理解度を確認し、「顧客に理解されるために必要な方法及び程度(生命保険会社向けの総合的な監督指針)」によって説明しなければならない。
顧客の理解不足による苦情を引き起こさないために
 生命保険募集人は、生命保険商品だけでなく損害保険や投資信託等の他の金融商品を取り扱っていることも多い。ニーズによっては生命保険ではなく、他の商品をお勧めするケースもある。この場合も、選択肢となる商品について、その商品を選択した理由から、商品の内容、リスク、デメリット情報を説明し、理解いただいたうえで、購入する商品を選択していただくことが大切である。

 金融機関代理店においては、今までの「募集補助資料」に代えて「重要情報シート」が提供されている。生命保険および他の金融商品を販売する際、重要事項シートを用いて説明することにより、その商品性の比較が容易になる。

 その他、各保険会社・代理店の定める方法に従い、「顧客の理解不足による後日の苦情」を引き起こさないような募集・販売活動が求められる。
参考:
(セールス手帖社 田中一司)

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