大掃除でチェックしたい災害防止のポイント

栗原 賢二
2021.12.23

 積極的な外出が依然ためらわれる状況の中、自宅で過ごす時間の快適さは重要なテーマです。年末の大掃除の機会に模様替えを検討している方もいるかと思いますが、災害時の安全性確保という観点も見過ごせません。どのようなことに留意するべきでしょうか?
地震による家具類の転倒等を防ぐためには?
 室内の安全対策として、いつ来るかわからない地震に備えた家具類の転倒等防止が推奨されています。近年発生した地震による怪我のうち、約30%~50%が家具類の転倒・落下・移動を原因としており、対策の大切さを物語っています。

 もし怪我を回避できても転倒した家具が避難経路を塞ぐ、落下した家具が電気ストーブ等のスイッチを押して出火といった、別の災害につながるケースも少なくありません。具体的な対策方法としては、以下のようなものが挙げられます。
納戸やクローゼットへの集中収納により、生活空間に置かれている家具を減らす
棚などの家具へ物を収納する場合、重いものを下に収納して倒れにくくする
避難経路や出入口周辺に転倒・移動しやすい家具類を置かないようにする
突っ張り棒やL型金具といった家具転倒対策器具を設置する
電源プラグや差込みプラグを原因とする火災に注意!
 そのほか予防しておきたい点として電気機器の電源プラグや、延長コードの差込みプラグを原因とする火災のリスクがあります。特に長期間コンセントに差し込まれたプラグ部分に、ホコリや湿気が溜まって発生する「トラッキング現象」による火災は、思わぬ被害につながることも考えられます。

 上記の現象を防ぐためには「差込みプラグは極力、使用時以外コンセントから抜く」「長期間差したままのプラグ等は、定期的に点検したうえ乾いた布で清掃する」といった対策が有効です。またコードが家具の下敷きで傷ついているなど、電気火災を誘発するような状態になっていないかチェックしておきましょう。
安全に関わる部分は定期的な点検・対策を
 普段なかなか気にしない箇所ですが、住宅用火災警報器(住警器)が正常に作動するかどうかも重要です。東京消防庁の発表によれば、住警器の作動により火災の被害軽減につながった事例は、令和2年中で224件ありました。電気ストーブから布団への引火、鍋の空焚き、充電中のタブレットから出火などは非常に身近なケースですが、住警器が作動すれば初期消火や隣人の119番通報といった、有効な初動につながります。

 住警器の点検は本体のボタンを押すか、付属のひもを引くことにより行います。正常であればその旨の音声や警報音が鳴り、点検の際の警報音等は自動で止まるのが一般的です。なお設置して長い期間が経った住警器は、電子部品の劣化や電池切れなどにより、正常に作動しないおそれがあります。そのため設置から10年以上を目安に、住警器本体を交換することが推奨されています。

 大掃除では以上のような災害時の場面も想定し、被害軽減対策を同時に行うことが理想です。とはいえ目先の片付けなどに追われ、限られた時間ではそこまで手が回らない懸念もあります。したがって安全に関わる部分は大掃除のタイミングにこだわらず定期的な点検・対策を行うなど、優先度をはっきりさせることもポイントになるでしょう。
参照:
(セールス手帖社 栗原賢二)

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