「住宅ローン減税」が見直しへ!

高橋 浩史
2022.01.06

 2022年(令和4)度の税制改正大綱が決定しました。その中で、住宅購入予定者に大きく影響のあるものとして、住宅ローン減税の制度見直しがあります。概要をまとめてみました。
控除率は1%から0.7%へ引き下げ
 住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)は、2021年末で期限を迎える予定でしたが、4年間延長され2025年の入居分まで延長されます。

 控除率や控除期間、控除を受けられる借入上限額の変更などが盛り込まれ、さらに世界的な脱炭素の流れを受け、省エネや環境性能に配慮した住宅に税の優遇が及ぶような制度へと生まれ変わっています。

 制度の主な変更点をまとめると下記のようになります。
変更前 変更後
控除率 1% 0.7%
控除期間 原則10年(特例13年) 新築13年・中古10年
控除対象借入限度額 4000万円(一般住宅)
5000万円(認定住宅)
下記別表参照
<変更後の控除対象借入限度額>
2022・2023年入居 2024・2025年入居
認定住宅 5000万円 4500万円
省エネ住宅 4000万円・4500万円 3000万円・3500万円
一般住宅 3000万円 2000万円
 このように、控除率は毎年末時点の住宅ローン残高の1%から0.7%へ、控除期間は「原則10年・特例13年」から「新築13年・中古10年」へと変わります。また、控除対象になる借入限度額も、入居年や住宅性能に応じた額になりました。一般住宅の控除対象限度額は、これまでの4000万円から3000万円と、1000万円下がる点が目立ちます。
制度改正の背景は?
 控除率引き下げの背景としては、住宅ローンの低金利が挙げられています。適用金利で見ると、変動金利などでは1%を切っており、銀行などへの利息支払額よりも、住宅ローン減税による節税額の方が多いという、いわゆる「逆ザヤ」が起きているのが現状です。

 そこで、控除率を引き下げることで逆ザヤへの対応をするとともに、控除期間を伸ばすことで、控除率引下げによる負担増を和らげる意図が感じられます。また、住宅マーケットへの影響を抑える狙いもあるでしょう。

 住宅購入者にとって、住宅ローン減税は大きな関心事。税の還付を当てにして購入するというのは本末転倒ですが、これまでより税負担が増える方向へと舵が切られたのは確かなようです。ウッドショック(新型コロナ禍による木材価格の高騰)などもあり、住宅価格は上昇傾向にあります。これまで以上に、家計負担にならない住宅予算決めが求められることになりそうです。
2022年度税制改正大綱については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。
参考:
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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