「健康寿命」男女ともに延伸、2019年は男性72.68歳、女性75.38歳

高田 康正
2022.01.24

日常生活に制限のある期間は減少傾向が続く
 厚生労働省は、2021年12月に開催された第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会において、「健康寿命」の令和元年(2019年)値を公表しました。健康寿命は3年ごとに数値が発表されていて、令和元年(2019年)値は男性72.68歳、女性75.38歳となり、前回2016年の男性72.14歳、女性74.79歳と比べ、男性で0.54歳、女性で0.59歳延びました。また、2010年と比べると、男性で2.26年、女性で1.76年の延伸となりました。

 健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことで、平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味します。2019年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳で、平均寿命から健康寿命(日常生活に制限のない期間)を差し引いた日常生活に制限がある期間は、男性8.73年、女性12.06年となっています。前回2016年の男性8.84年、女性12.34年と比べ、男性は0.11年、女性は0.28年短くなりました。また、2010年以降、縮小傾向が続いています。
健康寿命と平均寿命の推移
健康寿命
(A)
平均寿命
(B)
日常生活に制限がある期間
(A‐B)
男性 2010年 70.42歳 79.55歳 9.13年
2013年 71.19歳 80.21歳 9.01年
2016年 72.14歳 80.98歳 8.84年
2019年 72.68歳 81.41歳 8.73年
女性 2010年 73.62歳 86.30歳 12.68年
2013年 74.21歳 86.61歳 12.40年
2016年 74.79歳 87.14歳 12.34年
2019年 75.38歳 87.45歳 12.06年
厚生労働省「第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会 資料(令和3年12月)」
健康寿命の延伸と不健康寿命の短縮の要因
 厚労省は、健康寿命の延伸の原因として、3疾患(悪性新生物、虚血性心疾患、脳血管疾患)の死亡数の減少、3疾患、関節疾患と他の疾患の受療者数の減少と受療者の不健康割合低下とともに、受療なし者(集団全体の6割)の不健康割合が低下している点などを挙げています。そして、不健康寿命の短縮については、死亡率低下による延伸分を、不健康割合低下による短縮分が上回っていたとしています。

 平均寿命と健康寿命の差が拡大すれば、医療費や介護給付費の多くを消費する期間が増大することになり、疾病予防と健康増進、介護予防等によって、平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待できますので、「健康寿命の延伸」は健康日本 21(第二次)の中心課題となっています。
(参考)
「二十一世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次))」とは、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸などを実現するため2000年度(平成12年度)から展開された「二十一世紀における国民健康づくり運動(健康日本 21)」に、新たな健康課題や社会背景などを踏まえて2013年度(平成25年度)からスタートした10年間の計画です。5つの基本方針のうち健康寿命の延伸については、健康寿命を男女ともに3年以上延伸し(2016年比)、75歳以上とする(2040年)ことを目標としています。
参照:
(セールス手帖社 高田康正)

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