財産債務調書制度の見直し

村田 直
2022.02.10

所得に関わらず、一定の資産保有者は提出義務化へ
 令和4年度税制改正において、財産債務調書制度の見直しが行われる。

 現在、所得税等の確定申告書を提出しなければならない方又は所得税の還付申告書を提出することができる方で、その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産を有する場合には、財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した財産債務調書を、その年の翌年の3月15日までに、所得税の納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととなっている。

 この制度について、提出期限を緩和するなど提出義務者の事務負担の軽減を図るとともに、適正な課税を確保する観点から、現行の提出義務者に加えて、特に高額な資産保有者については、所得基準によらずに財産債務調書の提出義務者とする措置が講じられる。
令和5年分財産債務調書から、提出期限は6月30日に緩和
 具体的には、次の通り見直しが行われる。
(1)
財産債務調書の提出義務者の見直し
 令和5年分以後の財産債務調書から、現行の財産債務調書の提出義務者のほか、その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が10億円以上である居住者が提出義務者とされる。
(2)
財産債務調書等の提出期限の見直し
 令和5年分以後の財産債務調書から、財産債務調書の提出期限について、その年の翌年の6月30日(現行:その年の翌年の3月15日)とされる(国外財産調書についても同様)。
(3)
提出期限後に財産債務調書等が提出された場合の宥恕措置の見直し
 提出期限後に財産債務調書が提出された場合において、その提出が、調査があったことにより更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないときは、その財産債務調書は提出期限内に提出されたものとみなす措置について、その提出が調査通知前にされたものである場合に限り適用することとされる(国外財産調書についても同様)。
 上記の改正は、財産債務調書又は国外財産調書が令和6年1月1日以後に提出される場合について適用される。
(4)
財産債務調書等の記載事項の見直し
 令和5年分以後の財産債務調書又は国外財産調書について、財産債務調書への記載を運用上省略することができる「その他の動産の区分に該当する家庭用動産」の取得価額の基準が300万円未満(現行:100万円未満)に引き上げられるほか、財産債務調書及び国外財産調書の記載事項について運用上の見直しが行われる。
 なお、今回の内容はまだあくまで大綱段階であり、国会を通過するまでは最終決定ではない。
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
http://sogyo5.money-c.com/
マネーコンシェルジュ税理士法人がお届けする無料オリジナルマガジン
『あんしん相続通信』
保険営業マンの皆さんへ
お客様への情報提供ツールとして、ご利用ください(コピー配布可)。
右下の申込書の最下段に、ご自身のお名前をご記入の上、お客様にお渡しください
もし、そのお客様から生命保険のご相談があった場合には、必ずご紹介させていただきます。
ご希望の方は、下記申込書にご記入の上、06-6450-6991までFAXください。
https://www.money-c.com/kr/ASTapplication.pdf

▲ PAGE TOP