企業グループ間取引に係る書類保存制度が新設

村田 直
2026.03.19

企業グループ間の取引に係る書類保存の特例とは?
 令和8年度税制改正大綱において、企業グループ間の取引に係る書類保存の特例制度が新設されている。

 内国法人が関連者との間で特定取引を行った場合に、取引関連書類等にその取引に関する資産または役務の提供の明細、その取引においてその内国法人が支払う金額の計算の明細や算定に必要な事項の記載または記録がないときは、それらがないことを明らかにする書類(電磁的記録を含む)を取得または作成をして、保存することが義務付けられる。
関連者が内国法人に対して行う特定の取引は書類等の保存が必要
 対象となるのは、内国法人が「関連者」との間で「特定取引」を行った場合とされており、この場合の「関連者」は、移転価格税制における関連者と同様の基準により判定される。その詳細はここでは割愛するが、主に持株関係や実質的支配関係などにより判断することになるようだ。

 「特定取引」とは、関連者が内国法人に対して行う次の取引(販売費、一般管理費その他の費用の額の基因となるものに限る)に限定されている。
(1)
その関連者がその内国法人に対して行う次の資産(以下「工業所有権等」)の譲渡または貸付け(工業所有権等に係る権利の設定等その関連者がその内国法人に工業所有権等を使用させる行為を含む)
(イ)
工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式またはこれらに準ずるもの
(ロ)
著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む)
(ハ)
プログラムの著作物
(2)
その関連者がその内国法人に対して行う役務の提供のうち次のもの
(イ)
次のいずれかの事業活動で、その内国法人とその関連者との契約または協定に基づきその関連者が行うもの
(a)
その関連者が有する産業、商業または学術に関する知識経験等その関連者が有する経営資源を活用して行われる研究開発、広告宣伝等の事業活動
(b)
その関連者が有する専用資産(専らその内国法人及び関連者の事業の用に供することを目的とする資産をいう)をその内国法人に使用させる行為ならびにその専用資産の維持及び管理
(ロ)
その関連者がその内国法人に対して行う経営の管理または指導、情報の提供等の役務の提供でその関連者が有する産業、商業または学術に関する知識経験に基づき行うもの
(ハ)
上記(イ)及び(ロ)の役務の提供に類するもの
保存していなければ、青色申告の承認取消も
 これから新設される制度なので、始まってみないことには実務的なイメージはしづらいところではあるが、注意しておきたいのは、前述の書類等の保存が法令の定めに従って行われていない場合、「青色申告の承認の取消事由等となる」と大綱に明記されている点である。グループ経営されている法人においては、特定取引が自社グループに存在するかなどの確認を事前に行っておく必要があるだろう。

 今回の内容は、最終的に法案が国会を通過するまでは決定事項ではないため、ご注意頂きたい。
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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