転職者の約4割は求人サイト等を利用している

庄司 英尚
2022.04.04

 コロナ禍は終息していないが、採用活動に力を入れている企業が増えてきている。今回は、各企業が採用活動を行う際に参考にしたい「令和2年転職者実態調査の概況」を厚生労働省が2021年11月に公表しているので、その中で特に企業側が理解しておきたいポイントをまとめておく。
求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等の利用が増加
 転職者が現在の勤め先に就職するためにどのような方法で転職活動を行ったか(複数回答)をみると、「求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等」が39.4%と最も高く、次いで「ハローワーク等の公的機関」が34.3%、「縁故(知人、友人等)」が26.8%となっている。「企業のホームページ」を選んだ割合も15.1%を占めており、企業側はこの点は特に意識しておきたいところである。

 前回調査(2015年)と比較すると、「求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等」は15.2ポイント増加と大躍進した一方で、「ハローワーク等の公的機関」は7.0ポイント減、「民間の職業紹介機関」は4.2ポイント減となった。公的・民間の職業紹介機関の利用度に対し、「求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等」の利用度が高まっており、転職活動方法の変化が結果に如実に表れているといえよう。
選択理由として、満足のいく仕事内容、賃金以外の労働条件は重要
 転職者が現在の勤め先を選んだ理由(3つまでの複数回答)をみると、「仕事の内容・職種に満足がいくから」が41.0%で最も高く、次いで「自分の技能・能力が活かせるから」が36.0%、「労働条件(賃金以外)がよいから」が26.0%となっている。それに対し、「賃金が高いから」を選んだのは15.1%にとどまった。

 転職者の直前の勤め先を離職した主な理由は、「自己都合」が76.6%と最も高い。自己都合による離職理由(3つまでの複数回答)をみると、「労働条件(賃金以外)」がよくなかったから」が28.2%と最も高かった。次いで「満足のいく仕事内容でなかったから」が26.0%、「賃金が低かったから」が23.8%となっている。男女別にみると、男性は「満足のいく仕事内容でなかったから」、女性は「労働条件(賃金以外)」がよくなかったから」がそれぞれ理由のトップで、性別による違いが明らかにみられた。

 転職者に今後の転職希望について尋ねると、「今の職場で働きたい」が52.7%、「わからない」が24.9%、「機会があれば転職したい」が21.0%となった。入社すればそれで終わりではなく、そこで満足できなければ改めて転職活動を考える者は一定数いることは企業側も認識しなければならない。採用だけでなく、社員の定着率を高めるための施策にも目を向けてほしいところだ。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

▲ PAGE TOP