中小企業の事業再生等に関するガイドライン

村田 直
2022.04.07

「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」とは?
 「中小企業の事業再生等に関する研究会」は、2021年6月に公表された「成長戦略実行計画」を受け、中小企業の事業再生等に関するガイドラインを策定するために、同年11月から検討を行ってきた。

 今般、検討の成果として「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」が発表された。

 本ガイドラインは、中小企業者の「平時」や「有事」の各段階において、中小企業者・金融機関それぞれが果たすべき役割を明確化し、事業再生等に関する基本的な考え方を示すとともに、より迅速に中小企業者が事業再生等に取り組めるよう、新たな準則型私的整理手続である「中小企業の事業再生等のための私的整理手続」を定めている。

 今回は、このガイドラインから基本的な考え方の部分をご紹介する。
有事における中小企業者は何をすべきか?
 ガイドラインは、<第一部 本ガイドラインの目的等>、<第二部 中小企業の事業再生等に関する基本的な考え方>、<第三部 中小企業の事業再生等のための私的整理手続>の三部構成となっている。

 この第二部の中で、「有事における中小企業者と金融機関の対応」についてまとめられている。

 中小企業者は、収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生じたため、経営に支障が生じ、又は生じるおそれがある場合には、その置かれた状況に応じて、早期に経営改善を図るとともに、事業再生等を検討し実行することが望ましい。

 具体的には、債務者である中小企業者は、原則的には以下の対応を行うことが求められている。
(1)
経営状況と財務状況の適時適切な開示等
(2)
本源的な収益力の回復に向けた取組み
(3)
事業再生計画の策定支援
 その上で、段階的対応として、以下のような典型的な段階に応じた対応の検討が必要、としている。
返済猶予等の条件緩和が必要な段階
債務減免等の抜本的な金融支援が必要な段階
上記イ、ロの対応策を講じてもなお事業再生が困難な場合
上記イ、ロ、ハの対応策を講じてもなお事業再生が困難な場合
中小企業者が有事に至った場合の、金融機関の段階的対応
 また、債権者である金融機関は、中小企業者が有事に至った場合、原則的には以下の対応を行うことが求められている。
(1)
事業再生計画の策定支援
(2)
専門家を活用した支援
 その上で、中小企業者が(1)経営状況と財務状況の適時適切な開示等、(2)本源的な収益力の回復に向けた取組み、(3)事業再生計画の策定等に誠実に取り組んでいる場合には、中小企業者の置かれた状況に応じて、以下のような対応を検討する。
中小企業者から条件緩和の申出を受けた場合
条件緩和により事業再生の可能性があり、必要性・合理性が認められる場合には、条件緩和等の要請について誠実に検討する。
中小企業者から債務減免等の申出を受けた場合
金融債務の減免等により事業再生の蓋然性があり、債務減免等の必要性と金融機関にとっての経済合理性があり、金融機関間の衡平が確保され、かつ、経営責任と株主責任が明確化されている場合には、経営規律の確保やモラルハザードの回避といった観点も総合的に勘案しつつ、債務減免等の要請について誠実に検討する。
上記イ、ロの対応策を講じてもなお、中小企業者の事業再生が困難で、中小企業者から、スポンサー支援を求める旨の申出を受けた場合
中小企業者の意向を踏まえつつ、適切なスポンサー支援の探索に可能な範囲で協力することが期待される。
中小企業者から廃業の申出を受けた場合
中小企業者から廃業の申出があった場合は、スポンサーへの事業譲渡による事業継続可能性も検討しつつ、中小企業者の再起に向けた適切な助言や中小企業者が廃業を選択するにあたっての取引先対応を含めた円滑な処理等への協力を含め、中小企業者自身や経営者を含む関係者にとって望ましいソリューション(廃業型私的整理手続の適用を含む)を提供するよう努める。その際、中小企業者の納得性を高めるための十分な説明に努めることとする。
参考:
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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