住宅ローン金利、固定型・変動型今後どうなる?

高橋 浩史
2022.05.16

 金融引締が続くとの予測から長期金利が上昇し、アメリカの30年固定型住宅ローン金利の平均が5%と、11年ぶりの高水準との報道がありました。一方、日本では金融緩和政策により長期金利の上昇は小幅か横ばいにとどまっています。今後の住宅ローン金利はどうなるでしょう。
固定型の金利は今後も上昇?
 長期固定型住宅ローンの代表とも言える、「フラット35」の2022年4月の金利は1.44%(※1)でした。2022年1月は1.30%でしたから、2か月で0.14ポイント上昇しています。

 日本の長期金利(10年国債の金利)の影響を受けたものと思われますが、長期金利は、日銀が一定の範囲内で変動することを許容しているため、アメリカなどの長期金利が今後上昇すれば、日本の長期金利もその影響を受ける可能性は大いにあります。

 一方で、変動型の住宅ローン金利は、大手銀行・ネット銀行ともに金利優遇後の適用金利で0.5%を下回る商品もあり、依然として低金利です。銀行間での、顧客獲得競争が激しくなっていることなども影響しているかもしれません。

 変動型の住宅ローン金利は、短期プライムレート(銀行が企業へ1年以内で貸し出す最優遇金利)が基準です。短期プライムレートは日銀の政策金利に連動するため、金融緩和が継続される中では、もうしばらく低金利が続くのではと予想されます。
金利水準だけで住宅ローンを選ばない
 住宅ローンは、現状では固定型は上昇基調、変動型は低位安定という構図が見えてきました。住宅ローンの金利タイプは変動型を選ぶ人が67.4%(※2)と7割近くに達し、固定型と変動型の金利差が開いていくと、この傾向は今後も続くかもしれません。

 住宅ローンは金利水準に視点が行きがちですが、借入時の諸費用、団体信用生命保険の保障内容、固定金利期間終了後の金利優遇条件(固定金利期間選択型住宅ローンの場合)なども含めて検討することが大切です。

 金融引締やウクライナ情勢、原材料高を背景にした物価上昇など、世の中の金利動向や家計は不透明感が増しています。相談者へは、今後の世界情勢、日本や海外(特にアメリカ)の金融政策を俯瞰しながらの住宅ローンアドバイスが重要と言えるでしょう。
※1:
※借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付の金利の最頻値
※2:
住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」(2021年10月調査)より
参考:
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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