情報セキュリティの脅威トップは「フィッシング」

森田 和子
2022.05.30

 プライべ―トでも仕事でも、接続しない日がないほどインターネットは毎日の生活の中にあります。さまざまなサービスが登場して利便性が高まる一方で、ネットを介した犯罪も問題になり、情報セキュリティの重要性が高まっています。専門家が選んだ10大脅威について確認し、利用者が取るべき対策についても確認していきましょう。
本物そっくりのサイトに誘導
 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、セキュリティの専門家や企業のシステム担当などが選んだ10大脅威を、「情報セキュリティ10大脅威 2022」として、個人と組織の立場に分けて発表しました。個人向け脅威の第1位~第3位は以下になります。
第1位
フィッシングによる個人情報などの詐取
第2位
ネット上の誹謗・中傷・デマ
第3位
メールやSMS等を使った脅迫・詐欺の手口による金銭要求
 第1位のフィッシングは、偽の電子メールから偽のホームページに接続させ、クレジットカード番号やユーザID、パスワードといった重要な個人情報を盗み出すなどの詐欺行為です。偽メールを送り付け、有名企業や公共機関などのサイトをそっくりに模倣したサイトに誘導して個人情報を抜き取る手口もあり、クレジットカードの不正利用などの被害に合う可能性があります。SMSやメール内のURLは安易にクリックしてはいけません。迷惑メールフィルタの利用も推奨されます。被害に気づいた時には、パスワードを変更し、カード会社などに連絡しましょう。最寄りの警察署に相談することもできます。

 第2位はネット上の誹謗・中傷・デマです。被害を受けた場合には、一人で抱え込まず、信頼できる周囲の人や公的相談機関へ相談しましょう。犯罪と思われる誹謗・中傷の投稿は、警察へ被害届を提出し、必要に応じて弁護士にも相談します。管理者やプロバイダーへの情報削除依頼も検討できますが、削除により事態が悪化するおそれもあるため、周囲の人や弁護士等に相談して慎重に行う必要があります。また、加害者とならないための心構えも必要です。誹謗・中傷やデマの発信は犯罪になり、安易に拡散した人も社会的責任を問われる場合があります。情報モラルや情報リテラシーの向上、法令遵守の意識の向上が重要であり、家庭や教育機関では子供たちへの教育も必要です。

 第3位はメールや SMS等を使った脅迫・詐欺の手口による金銭要求です。ハッキングしたように見せかけたり、メールや電話を併用したり、公共機関を装ったりして信憑性を高め、脅しの内容を信じさせようとする場合もあります。メールは無視して、電話もしない、要求された支払いに応じないようにします。また、警察に相談することができます。
ネット上の被害も警察に相談
 個人の脅威の第4位以下は以下になります。
第4位
クレジットカード情報の不正利用
第5位
スマホ決済の不正利用
第6位
偽警告によるインターネット詐欺
第7位
不正アプリによるスマートフォン利用者への被害
第8位
インターネット上のサービスからの個人情報の窃取
第9位
インターネットバンキングの不正利用
第10位
インターネット上のサービスへの不正ログイン
 被害に気づいた場合には、金融機関のコールセンターなどに連絡をしましょう。どの脅威も犯罪にあたるため、警察に相談することができます。

 IPAでは、セキュリティソフトの利用や、パスワードの管理・認証の強化などの情報セキュリティ対策の基本を実践することを提唱しています。10大脅威の順位は毎回変動していますが、基本的な対策の重要性は長年変わりません。ニュースや公的機関の注意喚起などで情報を収集し、対策を取っていく必要があります。
参考:
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/

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