知っておきたい「失効取消制度」

高田 康正
2022.06.02

 ジブラルタ生命は、2022年4月から、契約失効後、一定期間内であれば延滞保険料(未払込保険料)の払い込みだけで保障が継続する「失効取消制度」を導入しました。

 失効取消制度は、2018年10月に損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険(現SOMPOひまわり生命)が業界で初めて新設し、その後、ソニー生命が2019年9月、PGF(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル)生命が2021年1月、オリックス生命が2021年2月、大同生命が2021年6月より同様の制度・規定・特則を導入しています。
失効
 契約が有効に継続し、保険金などが支払われるためには、保険料は払込期月までに払い込まれなければなりません。しかし、何らかの都合で、払込期月に遅れることも考えられます。保険料の払い込みがないまま保険料の払込猶予期間を経過し、かつ自動振替貸付などが適用されない場合、契約は失効します。失効した場合、保険契約の支払事由となる保険事故が発生しても保険金・給付金は支払われません。
復活
 一般には、失効後3年以内など所定の期間内であれば契約の復活が可能ですが、復活請求書(申込書)の提出と同時に告知書の記入、場合によっては診査が必要となります。そして、保険会社の承諾後、延滞保険料の払い込み(生命保険会社によっては所定の利息も)によって契約をもとの状態に戻すこと(復活)ができますが、告知等の内容によっては復活できず、保障を継続することができません。

 復活により契約を継続した場合には、保険料は契約時と変わらず、配当も継続しますが、復活日から新たに保障が開始されるため、失効期間中に保険事故が発生しても保険金・給付金は支払われません。
失効取消制度の概要
 失効取消制度とは、失効後の一定期間(通常、保険料払込猶予期限の翌月末まで)を「失効取消(可能)期間」とし、この期間内に失効取消に必要な延滞保険料を払い込むことにより失効が取り消され、失効時に遡って保障を継続できる制度です。告知書の提出(既往症に関する告知)は不要です。失効が取消された場合、失効取消期間内に発生した保険金等の支払事由についても支払いの対象となります。なお、失効取消期間を超過した場合は、所定の期間内に復活の手続きが必要となります。

 意図せず保険料の払い込みができなかった場合でも、一定期間内であれば簡便な手続きのみで健康状態に関わらず失効時に遡って保障を継続できる失効取消制度は、保険会社としても契約を継続してもらいやすくするために導入していますので、これからも取り扱う保険会社が増えると考えられます。知っておきたい、活用したい制度です。
(セールス手帖社 高田康正)

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