2社に1社は「働かないおじさん」がいる!?

庄司 英尚
2022.06.20

働かないおじさんは、休憩が多い
 「識学(組織運営理論)」を使った経営、組織コンサルティングや従業員向け研修を展開する株式会社識学は、4月27日・28日に全国の従業員数300名以上の企業に勤める20~39歳の男女を対象に、インターネットで「“働かないおじさん”に関する調査」を行った。

 その結果、49.2%の企業に“働かないおじさん”がいることが判明。また、半数近くの人が「働かないおじさんが仕事中にしていることは休憩」と回答している。同調査では、働かないおじさんが在籍している会社に、業務の成果を適切に評価し給与に反映される仕組みがあるのかどうかについても調査しており、興味深いところである。

 働かないおじさんが仕事をしないでしていること(複数回答)は、「休憩が多い(タバコを吸っている・お菓子を食べているなど)」49.7%、「ボーっとしている」47.7%、「無駄話をしている」47.3%、「ネットサーフィンをしている」35.3%、「プライベート・趣味について調べている」28.7%、「寝ている」18.7%という順であった。「寝ている」というのはあり得ない話であるが、パソコンに向かって仕事をしているように振舞っている人が実際には多いのかもしれない。

 働かないおじさんが社内にいることの悪影響として最も回答が多かったのは、「周りの社員の士気が下がる」で59.7%。これは「働かない人の分の業務が回ってくる」49.0%という回答よりも10ポイント以上高い数値であり、周囲に対する影響を考えるなら、働かないおじさんの発生は何としても防がなければならないといえよう。
働かないおじさんを生む原因は、「評価と給与の仕組み」
 働かないおじさんがいる企業で人事評価制度が定められているのは80.7%で、人事評価制度のある企業のうちの38.0%は「業務の成果と給与が連動していない」、41.7%は「給与査定基準が社員に明確に提示されていない」と回答している。評価制度が存在していても、成果が給与に反映されない、給与に反映される基準がよくわからない職場環境では、社員は頑張るだけ損と感じ、働く意欲が削がれていくのは当然だろう。年功序列で給与が上がる仕組みも、成果に対する意欲を低下させるのはあきらかであり見直しが必要である。

 いずれにしてもこのように評価と給与の仕組みが働かないおじさんを生んでおり、会社側のほうに問題があるといえる。早めに明確な「結果評価」の制度を導入し、常に成果に報いる体制を整えることこそ“働かない社員”をなくし会社の業績を上げる第一歩ではないかと調査はまとめている。もしもこのような状況を放置すれば会社の業績は徐々に悪化し、取り返しがつかないような事態になる可能性もあるということを理解しておきたい。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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