小規模企業共済、節税しつつ経営者の“退職金”積立

山崎 美穂
2022.06.23

『小規模企業共済』とは?
 小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主が役員を退任した場合や、事業の廃止・法人を解散した場合などに、共済金を受けとれるという制度だ。

 国の機関である中小企業基盤整備機構(以後、中小機構)が運営しており、昭和40年に始まった本制度の在籍人数は約153万人、資産運用残高は約10兆5,018億円と多くの方が利用している(令和3年3月末時点)。

 後述するポイントと注意点を理解し活用することで、メリットを得つつ引退後の生活資金などを備えることが可能となる。
4つのポイント
掛金は全額が所得控除でき、節税効果がある。
契約者自身の収入の中から払い込むため、事業上の損金または必要経費には算入できない。
掛金は加入後も増減可能で、月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定ができる。満期や満額はない。
低金利の貸付制度が掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)で利用可能。
貸付制度の例:一般貸付け/緊急経営安定貸付け/傷病災害時貸付け/福祉対応貸付け/事業承継貸付け/廃業準備貸付け など
共済金は退職・廃業、解約したときに受け取り可能で、受け取り方も「一括」「分割」「一括と分割の併用」から選べる(一部要件有り)。
注意点
 掛金納付期間が12カ月未満の場合、解約手当金や共済金が受け取れない場合がある。また、掛金納付月数が、240カ月(20年)未満で任意解約をした場合、掛金合計額を下回ってしまうため、元本割れとなる。

 加入期間が240カ月以上でも、途中で掛金を増額・減額した場合で、掛金区分ごとの掛金納付月数が240カ月を下回ったときは、任意解約した場合に受け取れる解約手当金が掛金合計額を下回ってしまうことがある。

 他にも、受け取る際の年齢や一括または分割などの受取方法などで、税法上の取扱いが異なるので注意が必要だ。
【例1】
共済金または準共済金を一括で受け取る場合⇒税法上の取り扱い:退職所得扱い
【例2】
共済金を分割で受け取る場合⇒税法上の取り扱い:公的年金等の雑所得扱い
加入手続き
 小規模企業共済への加入手続きは、中小機構が業務委託契約を結んでいる団体や、金融機関の窓口で行うことができる。

 注意点をご留意の上、ご自身の人生設計の一参考情報として心に留めて頂けると幸いだ。
参考:
山崎 美穂(やまざき・みほ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

栃木県出身。一般企業で経理・総務を経験し、現法人へ。企業で役立つ支援策・補助金等の最新情報を収集、お役立ち情報としてSNSやホームページで発信中。
趣味は釣りと食べ歩き。
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