夏のボーナス、支給する中小企業は4割強

庄司 英尚
2022.07.11

支給額で多いのは10万円以上30万円未満
 株式会社フリーウェイジャパンは、中小企業及び零細企業の代表取締役(114人)と従業員(279人)を対象に、「2022年度 夏のボーナス実態調査」を実施し、調査結果を公表している。大手企業に関するこの手の調査は多いが、中小企業の実態はなかなかわかりにくいのでこのような調査結果はぜひとも参考にしたいところである。

 経営者に対して夏のボーナスの支給予定について聞いたところ、「支給予定あり/支給済み」との回答は43.0%を記録。昨年実施した調査と比較して24.5ポイントの上昇となった。一方、「支給予定無し」は29.8%、「ボーナス制度がない」は26.3%、「未定」は0.9%だった。

 ボーナスが支給された従業員と支給予定で金額を把握している従業員にボーナスの支給額を聞いたところ、「20万円~30万円未満」が最多の23.3%。「10万円~20万円未満」が21.9%、「30万円~40万円未満」と「50万円~60万円未満」が共に13.7%だった。
ボーナス支給額に対して3人に2人は納得
 今年の夏のボーナスに対する評価を従業員に聞いたところ、「納得している」が最多の39.7%、「やや納得している」が24.7%と、64.4%の人が支給額に納得していることが明らかになった。一方、「納得していない」と「あまり納得していない」は共に12.3%、「どちらともいえない」が11.0%という結果となった。

 納得感は、会社の経営状況から考えてこのくらいは当然と考える人もいれば、中小企業だからこのくらいが妥当だろうと思う人もいるだろう。中小企業の場合、従業員はボーナス支給額の根拠や例年に比べてどのような経営佳境の変化があったかなどわからないことも多く、このような調査結果を参考に勤務先のボーナス支給状況について考えてみるのもいいだろう。
冬のボーナスは期待できる……かも!?
 経営者に今年の冬のボーナスの支給見込みについて聞いたところ、見込みが「立っている」との回答37.7%に対し、「立っていない」は40.4%、「わからない」が21.9%という結果だった。一方、従業員に今年の冬のボーナス支給に対する期待について聞いたところ、「期待できる」が21.5%、「やや期待できる」が17.9%で、4割近くが冬のボーナスに期待しており、昨年の調査と比較すると17.7ポイント期待感が高まっている。

 冬のボーナスの支給に期待できる理由としては、「会社の経営が好調なため」が最多の38.2%、「業績が回復する見込みがあるため」が17.3%、「経済活動が活発化すると考えているため」が10.9%だった。

 中小企業及び零細企業のボーナスの実態はなかなかニュースにならず、具体的な支給額などを中小企業の経営者同士で話し合ったりすることも少なく、今回のフリーウェイジャパンの調査結果は大変貴重な情報である。中小企業の経営者は従業員の気持ちも理解したうえで納得感を高めることができる何らかの工夫をしていくのがよいのではないか。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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