テレワーク中心の人の学びの満足度、コロナ禍前より総じて4割が「高くなった」

庄司 英尚
2022.09.12

学びの満足度、高くなった人と変わらない人が多数派
 株式会社リクルートマネジメントソリューションズは、新型コロナウイルスの発生から現在まで同じ会社に勤務し、テレワークの頻度が週または月の半分以上に増えた832人を対象に、「リモート下の会社員の学びに関する実態調査」を2022年2月に実施、その結果を公表した。

 それによると、過去1年の仕事に関する学びについて、コロナ禍前と比べて満足度が「高くなった」と「どちらかといえば高くなった」の合計が43.4%、「あまり変わらない」が42.4%、「低くなった」と「どちらかといえば低くなった」の合計が14.3%だったことから、傾向としては、総じて高くなった人と変わらない人が多数派を占めている。
学習機会の経験は、上司と部下の間の1on1ミーティングがトップ
 社外、会社、上司・職場に関する合計10の学習機会について、「過去1年において経験したもの」で多かった回答は、「上司と部下の間の1on1ミーティング」(41.5%)、「社員対象の研修」(35.3%)、「上司や同僚からの業務支援やフィードバック」(30.8%)、「社外のセミナーや勉強会」(27.0%)、「社内の情報共有システムの利用」(23.7%)であった。「上司と部下の間の1on1ミーティング」については、コロナ禍によるリモートワークの機会増加が後押ししているのは確かであろう。

 一方、社外の学習機会である「社外の社会人向けの専門教育プログラム」(7.6%)や「副業、ボランティアなど社外活動」(10.9%)」は経験した人が少なかったわけだが、コロナ禍前より学習機会が「増えた」「どちらかといえば増えた」の合計が多かったのは「副業、ボランティアなどの社外活動」(70.3%)、「社外の社会人向けの専門教育プログラム」(69.8%)であり、この2つは経験度は低いが増加度は高いという傾向が表れている。コロナ禍では通勤時間の減少やオンラインで学べる機会が増えて、手軽さもあって新たに社外の学習機会を活用しようという意欲が高まったと思われる。
コロナ禍で仕事に関する学びに使える時間は増えている
 反対に学習機会が「増えた」と「どちらかといえば増えた」の合計が少なかったのは、「上司や同僚の仕事ぶりを見て学ぶ機会」(30.8%)、「上司や同僚からの業務支援やフィードバック」(33.6%)という社内における学習機会の低迷が顕著であり、コロナ禍で出社が減少したことの影響が大きい。企業によっては不安が残るというところもあるだろう。

 社内での学習機会が少なくなると今後の人材育成にも大きな影響を与える可能性もあるので、さまざまな学習機会をバランスよく活用するよう考えてマネジメント体制を整えていかなければならない。

 同調査担当研究員は、《コロナ禍以降、勤務形態が「出社ワーク中心」から「テレワーク中心」へと変化した会社員について、「仕事に関する学びに使える時間」や「学習機会」が増加したこと、それが仕事に関する学びの程度にプラスの影響を与えていることがわかりました。「仕事に関する学びの満足度」も向上しています。》と分析している。これを受けて企業側も学びの満足度を高めることを意識して、企業側にとってもプラスの効果が得られるものを提供していかなければならない。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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