増えている「ふるさと納税」

森田 和子
2022.09.22

 ふるさと納税の利用が増加しています。2021年度の寄附総額は約8,302億円、総件数は約4,447万件です。10年前の2021年度は、総額約121億円、総件数は約10万件なので、大きく増えたことが分かります(※1)。利用する人も増えていると考えてよいでしょう。ところが、「気にはなるけれど、まだやっていない」という声も少なくありません。ふるさと納税について確認していきましょう。
ふるさと納税とは
 ふるさと納税は、自分の選んだ自治体に寄附をすると、自分の納める所得税・住民税から控除される制度です。利用者には、税金を納める先が変わるだけと感じられるため、負担感がないようです。「ふるさと」という名称ですが、生まれ故郷でなくても構いません。ひとつの自治体ではなく、複数の自治体に寄附することもできます。

 寄附額は、2,000円までは控除の対象外です。また、限度額を超えた部分も控除の対象外です。ふるさと納税のメリットを利用するには、「2,000円超、かつ、自分の限度額以下」の金額で寄附をする必要があります。限度額は所得や家族構成などにより違うため、ポータルサイト(※2)などで確認すると良いでしょう。例えば年収400万円の独身者の場合、全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安は、4万2千円です。(※3)

 2021年度に受入額の多かった上位の自治体は、1位が北海道紋別市、2位が宮崎県都城市、3位が北海道根室市です(※1)。北海道紋別市と北海道根室市のお礼の品には海産物が豊富で、宮崎県都城市には、宮崎牛などの肉類や焼酎などがあり、やはり人気の品によって寄附も集まりやすいようです。

 お礼の品は、辞退することもできます。その自治体を応援したいから、という理由でふるさと納税を利用することもできます。
寄附をした後の手続きは2通り
 所得税・住民税からの控除を受けるためには、ふるさと納税を行った翌年に確定申告をする必要があります。寄附をすると送られてくる寄附金受領証明書を保管しておきましょう。

 また、会社員など確定申告の不要な人が5つ以内の自治体に寄附をする場合には、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用できます。寄附先の自治体へ、ワンストップ特例申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)を送付する必要があるので、寄附をする時には申請書も申し込みます。手続きを忘れた場合などは、自治体に直接連絡して申請します。
ポータルサイトが便利
 ふるさと納税の利用には、民間のポータルサイト(※2)が多く利用されています。各自治体のお礼の品やランキングなどを見ることができ、寄附の限度額をシミュレーションできるなど情報を集めやすくなっています。気になっている方は、一度チェックしてみるとよいのではないでしょうか。
※1:
※2:
ふるさとチョイス」、「さとふる」など。
※3:
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/

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