ご存じですか?10月から変わる社会保険

飯田 道子
2022.09.26

短時間労働者の適用拡大
 令和4年10月から、短時間労働者の被用者保険の適用拡大および育児休業時の保険料免除基準の緩和が行われます。今回の見直しにより、新たに社会保険に加入できる人が増えることは確実です。自分が対象になるのかどうかは、ぜひ、知っておきたいものですね。また、育休時の社会保険料の支払免除も見直しが行われます。10月からいったいどのように変わるのでしょうか?

 今までは厚生年金に加入できる週20時間以上の短時間労働者は、501人以上の事業所で働いていることが条件でしたが、改正により、101人以上の事業所で働いている人が対象になります。さらに、令和6年10月からは51人以上の事業所で働いている人が対象になりますので、段階的に社会保険加入者が拡大することになります。

 また、以前は週20時間以上の労働者であっても、社会保険に加入できるのは、1年以上の勤務期間があることが要件でしたが、この1年要件が撤廃され、週20時間以上の労働、月額賃金8.8万円以上、2カ月を超える雇用の見込があり、学生でなければ加入できるようになります。

 つまり、今まで社会保険に加入できなかった人であっても、加入できるチャンスは広がります。自分が対象かもしれないと思ったら、勤務先の上司や人事担当者に相談してみましょう。

 また、常時5人以上の従業員を雇用している士業の個人事業所が、健康保険・厚生年保険の強制適用事業所になります。対象となる士業事務所は、弁護士、沖縄弁護士、外国法事務弁護士、公認会計士、公証人、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、海事代理士、税理士、社会保険労務士、弁理士です。
障害者や長期勤務者は注意が必要に?!
 反対に、老齢厚生年金を受給している65歳未満の障害者の方または厚生年金保険の被保険者期間が44年以上ある方は、年金の定額部分(加給年金額が加算されているときは加給年金額も含む)が全額支給停止となってしまいます。

 対象者は、「障害者・長期加入者特例に係る老齢厚生年金在職支給停止一部解除届」を提出しなければ、年金の定額部分を受給できなくなってしまいますので、注意してください。
育児休業期間中の保険料の免除基準が見直される
 一方、短期間の育児休業等を取得した場合、育児休業等の開始月については、同月の末日が育児休業等期間中である場合だけでなく、同月中に14日以上の育児休業等を取得した場合にも、保険料が免除されることになります。また、賞与保険料は、1カ月を超える育児休業等を取得した場合にのみ免除されます。

 育児休業を取得する人は少なくありません。現在だけでなくこれからに備えて情報をキャッチアップしておくことが大切です。
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)

 金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
 海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。

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