令和3年分民間平均給与は3年ぶり増加の443万円

浅野 宗玄
2022.10.03

平均給与は新型コロナ感染拡大前の水準に回復
 国税庁が公表した「令和3年分民間給与実態統計調査」結果によると、令和3年1年間を通して民間企業に勤めた給与所得者の平均給与は443万円で、前年に比べ2.4%増加した。平均給与は3年ぶりの増加で、新型コロナ感染拡大前の水準に回復した。令和3年12月31日現在の給与所得者数は、前年に比べほぼ横ばいの5,931万人。給与総額は225兆4,195億円(前年比2.8%増)、所得税額は11兆1,870億円(同8.2%増)だった。

 給与所得者のうち、1年を通じて勤務した給与所得者数は、前年比0.5%増の5,270万人(正規3,588万人、非正規1,271万人)となり、2年ぶりの増加となった。その平均給与443万円の内訳は、平均給料・手当が同2.2%増の377万円と2年連続の増加、賞与は同3.1%増の67万円と2年ぶりに増加した。平均給料・手当に対する平均賞与の割合は前年から増加して17.7%となった。
男性は545万円、女性は302万円と初の300万円台に
 男女別の平均給与は、男性(平均年齢46.9歳、平均勤続年数14.2年)が前年比2.5%増の545万円、女性(同46.8歳、10.4年)は前年から同3.2%増の302万円となり、調査を開始した昭和53年(1978年)以降で初めて300万円を超え最高額となった。正規、非正規別にみると、1人当たりの平均給与は、正規が同2.6%増の508万円、非正規は同12.1%増の198万円と増加したが、2.6倍の差がある。
源泉徴収による納税者は全体の85.6%の4,513万人
 また、1年を通じて勤務した給与所得者5,270万人のうち、源泉徴収により所得税を納税している人は全体の85.6%(前年84.9%)を占める4,513万人で、前年より1.4%増加した。その納税額(源泉徴収税額)は11兆6,273億円で、納税者の給与総額に占める税額の割合は5.32%(前年5.07%)、納税額は前年に比べ8.5%増加している。給与総額全体に占める税額の割合は4.98%(同4.72%)だった。
年末調整を行った人は全体の92.9%の4,894万人
 なお、1年を通じて勤務した給与所得者5,270万人のうち、年末調整を行った人は全体の92.9%に当たる4,894万人(前年比0.8%増)となっている。このうち、配偶者控除又は扶養控除の適用を受けた人は同28.6%の 1,399 万人(同1.0%減)で、扶養人員のある人1人当たりの平均扶養人員は1.44人(前年1.46人)となっている。また、配偶者控除のある人と配偶者控除のない人共に、扶養人員1人の人が最も多くなっている。
参考:
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト

1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php

▲ PAGE TOP