路線価上昇時代に知っておきたい相続対策

村田 直
2026.07.16

2026年の路線価発表
 毎年恒例の路線価発表が、今年も7月1日に行われた。全国の標準宅地の平均は前年比2.9%プラス、5年連続の上昇となった。

 相続税や贈与税における土地等の評価額の基準となるのが路線価である。2026年分の相続税や贈与税においては、今回発表された路線価に基づき、土地等を評価することとなる。

 路線価は国税庁のHPで確認することができる。
路線価上昇への対抗策
 近年、路線価は上昇傾向にある。もちろん、地域差はあると思うが、ご自身や親の財産について、これまで相続財産が相続税の基礎控除以下だと思って安心されていた方が、路線価上昇により相続税の基礎控除額を超えるケースも出てくるかもしれない。

 そんな場合に知っておきたいのが、小規模宅地等の特例である。

 個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業用または居住用に供されていた宅地等について、要件を満たせば、その宅地等のうち一定の面積までの部分について、減額措置を受けることができる。

 路線価が上昇すれば、単位面積当たりの減額金額も大きくなるため、上手に活用したい。
特定居住用宅地等~約100坪まで8割減
 小規模宅地等の特例と一口に言っても、いくつかの種類がある。ここでは、自宅について適用できる「特定居住用宅地等」をご紹介する(紙面の都合上、詳細な説明は割愛)。

 特定居住用宅地等とは、相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、相続税の計算上、宅地の評価を330㎡まで80%減額することができる。大まかに言えば、約100坪(1坪≒3.3㎡)までの土地であれば、路線価評価の2割で相続税を計算することができる。

 この特例は取得する親族の区分に応じて、それぞれ要件が定められている。ここでは、被相続人の居住の用に供されていた宅地等を前提とする。

 まず、被相続人の配偶者については、無条件で特例が受けられる。

 次に、被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族(同居の子など)については、以下の2つの要件が定められている。
居住継続要件 相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住していること
所有継続要件 その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること
同居していなくても、特例が受けられる場合
 配偶者及び上記の同居親族以外の親族については、次の(1)から(6)の要件をすべて満たせば、特例が受けられることになっている。たとえば、別居の子が持ち家に居住している場合は、(4)(5)に該当しないので、特例の適用は受けられない。
(1)
居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと
(2)
被相続人に配偶者がいないこと
(3)
相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと
(4)
相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがないこと
(5)
相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
(6)
その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること
 小規模宅地等の特例は、要件が複雑なうえ盲点となりうる要件等もある。適用したい場合は、要件の確認などしっかり事前準備しておくことをお勧めしたい。
参照:
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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