財産債務調書制度の見直しについて

村田 直
2022.10.06

財産債務調書制度とは?
 令和4年度税制改正において、令和5年分以後の財産債務調書の提出義務者、提出期限などについて見直しが行われた。

 財産債務調書制度は、所得税等の確定申告書を提出しなければならない方又は所得税の還付申告書(その年分の所得税の額の合計額が配当控除額及び年末調整で適用を受けた住宅借入金等特別控除額の合計額を超える場合におけるその還付申告書に限る)を提出することができる方で、その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産を有する場合に、その財産の種類、数量及び価格並びに債務の金額その他必要な事項を記載した財産債務調書を、その年の翌年の3月15日までに所得税の納税地の所轄税務署に提出する制度である。
見直しのポイントは3つ
 改正点は大きく3つある。
1.
提出義務者の拡充
2.
提出期限の後倒し
3.
記載内容の簡略化
 まず、提出義務者の拡充については、現在、以下の(1)及び(2)を満たす方が提出義務者となっている。
(1)
その年分の退職所得を除く各種所得の金額の合計額が2,000万円を超える場合
(2)
その年の12月31日において、その合計額が3億円以上の財産又は1億円以上の国外転出特例対象財産(有価証券、未決済信用取引など)を有する場合
 改正後は、上記の提出義務者のほか、その年の12月31日において、その合計額が10億円以上の財産を有する方についても、提出義務者となる。

 次に、提出期限については、令和4年分以前の調書については、その年の翌年の3月15日とされているが、令和5年分以後の調書からは、その年の翌年の6月30日に後倒しされる。

 記載内容の簡略化については、従前より100万円未満の家庭用動産や事業用の未収入金などについては、記載を簡略化することができたが、その金額基準が300万円未満に引き上げられた。

 さらに、その年の12月31日における預入高(一口)が50万円未満の預貯金については、その預入高の記載を省略し、財産債務調書の「所在」欄又は「備考」欄に口座番号を記載すればよいこととなり、青色申告決算書又は収支内訳書の「減価償却費の計算」欄に記載された減価償却資産については、資産ごとに区分して記載することを省略することができるようになる。

 なお、令和4年分以前の財産債務調書については、従前どおりとなるため、注意して頂きたい。
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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