会社を辞めないで資格の勉強に専念したいときの給付金

森田 和子
2026.05.14

 働きながら資格を取りたいと思っても、なかなか時間が取れない人も多いのではないでしょうか。そのために長期間仕事を休むことが認められるとしても、給与なしで生活していけるのかと不安になります。そのような労働者の学び直しを支援するため、休暇中の生活費をサポートする「教育訓練休暇給付金」の制度が2025年10月からスタートしています。
給付金の対象になる人
 教育訓練休暇給付金は、労働者が自発的なスキルアップや学び直しのために、勤務先から教育訓練休暇を取得した場合に、雇用保険から支給されます。休暇中の生活費を保障して、労働者のキャリアアップを後押しするためのものです。

 この給付金を受給するには、雇用保険の加入期間や、取得する休暇についての要件があり、以下のそれぞれの要件は全て満たす必要があります。
【対象になる人】
(1)
休暇開始前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があること
(原則、11日以上の勤務実態がある月が被保険者期間として算定の対象)
(2)
休暇開始前に5年以上雇用保険に加入していた期間があること
(離職期間があっても、一定の要件に合致すれば加入期間を通算可)
(失業給付、教育訓練休暇給付金、育児休業給付金、出生時育児休業給付金を受給していた場合、通算できない期間が生じる場合があります)
【対象になる休暇】
(1)
就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇であること
(2)
労働者本人が教育訓練を受講するため自発的に取得し、事業主の承認を得て取得する30日以上連続した無給の休暇であること
(3)
以下の教育訓練等を受けるための休暇であること
学校教育法に基づく大学・大学院・短大・高専・専修学校・各種学校が提供する教育訓練
教育訓練給付金の指定講座を有する法人が提供する教育訓練
職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの
(司法修習、語学留学、海外大学院での修士号の取得等)
受給できる日数と金額の目安
 給付金は休暇の一日ごとに支給され、給付される上限の日数は、雇用保険の加入期間に応じて異なります。
【給付日数】
加入期間 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
所定給付日数 90日 120日 150日
(受給期間は休暇開始日から起算して1年間)
 休暇一日あたりの給付日額は失業給付の算定方法と同じで、原則休暇開始前6か月の賃金日額に応じて算定されます。例えば、額面月収25万円の人であれば一月の給付月額は約17万円、額面月収35万円は給付月額が約19万5,000円になります。
利用するための手続きと注意点
 制度を利用するには、まず勤務先に「教育訓練休暇制度」が導入されているかを確認し、事業主と相談したうえで休暇を取得する必要があります。勤務先に休暇制度がない場合は利用できませんが、可能であれば、制度導入を提案してみましょう。

 なお、教育訓練休暇給付金の支給を受けると、休暇開始日より前の雇用保険の被保険者期間などがリセットされて通算できなくなります。原則として、一定期間は失業給付などの給付金を受給できなくなることに注意が必要です。(育児休業等給付・介護休業給付によるみなし被保険者期間、教育訓練給付金の支給要件期間には影響しません。)

 利用上の注意点もある制度ですが、会社を辞めずに資格取得などに挑戦できるのは経済的なメリットがあります。希望する場合には、勤務先とも相談しながら検討してみてください。
参考:
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

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