「ねんきん定期便」と年金見込額

森 義博
2026.05.11

誕生月に届く「ねんきん定期便」
 毎年誕生月に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」。皆さんはどの程度関心をもってお読みでしょうか。公的年金に関心が高く「ねんきんネット」に登録して随時スマホやPCで確認されている方の中には、「はがき版」の郵送は停止にしたという方もおられると思います。一方で、はがきのシールをはがさずに放置している方も、もしかしたら……。

 2007年に発覚したいわゆる「消えた年金問題」をきっかけに、年金加入状況を本人に確認してもらうための緊急対応として「ねんきん特別便」が国民一人ひとりに送られたことをご記憶の方もおられると思います。その後、毎年の“定期便”になったわけで、その成り立ちからしても、「ねんきん定期便」の第一の役割は加入記録の確認だといえるでしょう。ただ、そうはいっても、受け取る側として最も興味がある部分は将来の年金額ではないでしょうか。
「ねんきん定期便」に記載されている年金見込額
 既に年金受給が始まっている人を除く全ての人の「ねんきん定期便」には、老齢年金の見込額が記載されています。ただし、年齢によって見込額の算出方法が異なります(下表)。

 50歳未満の場合は、「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されています。年金加入期間はまだその先10年以上あるわけで、その間の保険料納付によって65歳から受け取れる老齢年金はさらに増えることが想定されます。ただし、その間に働き方の変化などがあると増え方は大きくぶれる可能性があるため、実際に将来受け取れる老齢年金額を見込むのは難しいということでしょう。

 一方、年金受給開始年齢が近づきつつある50歳以上になると、「老齢年金の種類と見込額」が記載されています。ただし、ここにもさらに年齢による区分があります。59歳までは「ねんきん定期便」作成時点で加入している制度に60歳まで加入した場合の金額、60歳以上は作成時点までの年金加入実績に応じた金額です。

 したがって、50歳以上の方が老後のライフプランを立てる際には、「ねんきん定期便」に記載された年金額がある程度の目安にはなるといえます。ただし、ここに表示される年金額には、60歳以降(60歳以上の方は現在以降)働くことによる年金額の増加は反映されませんし、在職老齢年金制度(在老)による支給停止も考慮されないことに留意が必要です。
表 「ねんきん定期便」に記載されている「年金額」
(※1)
年金受給者の「ねんきん定期便」には年金額の記載はない。
出所)
日本年金機構のホームページをもとに作成
「ねんきんネット」で将来の年金額を試算
 日本年金機構ではペーパーレス化推進のため、「ねんきんネット」に登録して「ねんきん定期便」は「ねんきんネット」内の「電子版ねんきん定期便」を閲覧することにし、冒頭でも触れたようにはがき版を郵送停止(※2)にすることを推奨しています。

 「ねんきんネット」に登録すると、「ねんきん定期便」よりも実態に近い年金額の試算ができるメリットがあります。

 「ねんきんネット」には「かんたん試算」と「詳細な条件で試算」という2種類の試算方法が用意されています。前者にはほぼワンクリックで試算結果が得られる手軽さがありますが、実態に近い年金額を知るためには後者が適しています。このあたりについては、次回見ていきたいと思います。
(※2)
はがき版の郵送停止を登録しても、35歳、45歳、59歳時の封書版は郵送されます。
参考:
森 義博(もり・よしひろ)
公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団 シニアアドバイザー
CFP®、1級FP技能士、1級DCプランナー、ジェロントロジー・マイスター
1958年横浜市生まれ。大学卒業後、国内大手生命保険会社入社、2001年から同グループの研究所で少子高齢化問題、公的年金制度、確定拠出年金、仕事と介護の両立問題などを研究。2015年ダイヤ高齢社会研究財団に出向し研究を継続。2024年4月から現職。
趣味はピアノ演奏と国内旅行(とくにローカル鉄道)。

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