2023年より国民年金の「スマホ決済払い」が始まる見通しに

高橋 浩史
2022.11.10

 スマートフォンを利用した、国民年金保険料の納付が2023年2月から始まる見通しとの報道がありました。その内容を見ていきましょう。
スマホの決済アプリを利用して納付
 報道によれば、厚生労働省が省令を改正することで、スマートフォンのアプリを利用して国民年金保険料を収めることを可能にするとしています。

 年金保険料の納付書に記載のバーコードをスマホの決済アプリで読み取り、決済に必要な情報をアプリに入力、キャッシュレス決済やクレジットカードで納付する仕組みになる模様です。

 決済アプリについては、決済サービス会社のビリングシステム株式会社が運営する「PayB」(ペイビー)を利用する方法と、PayPay・d払いなどのスマホ決済アプリや金融機関のアプリを利用する方法の、2種類が予定されています。

 金融機関については、みずほ銀行を始めとしたメガバンク、ゆうちょ銀行、一部の信用金庫、JAバンクなどの口座との紐付けが予定されています。クレジットカードは、VISA、MasterCardなど5ブランドが利用可能になります。
若年層の納付率アップが課題に
 国民年金保険料の納付については、銀行口座振替、クレジットカード、金融機関やコンビニでの現金納付などがあります。これらに加えて、スマホを利用して時間や場所を選ばずに納付が可能になれば、納付率のアップに繋がる可能性もあるでしょう。

 国民年金保険料の2021年度の全体の最終納付率は約78.0%でした。この納付率を年齢階級別に見ると、55~59歳が約84%で最も高く、最も低いのは25~29歳の約69%です。納付率については、若年層の方の納付率が低いことから、将来の“無年金者”の発生防止のためにも納付率を上げていくことは課題と言えるのではないでしょうか。

 スマホ決済導入により、納付するための手続きのハードルは下がります。若年層の国民年金保険料の納付率にどのような変化が現れるのかが注目されます。
参考:
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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