令和4年9月末時点の普通国債は約993.8兆円と過去最大

浅野 宗玄
2022.12.05

令和4年9月末時点の「国の借金」は1,251兆3,796億円
 財務省が公表した、令和4年9月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、過去最大だった4年6月末から3兆8,135億円減って1,251兆3,796億円となった。4年度の税収総額は約68兆円と3年連続で過去最高を更新する見通しだが、4年度第2次補正予算では、物価高・原油高に伴う家計や企業のエネルギー代負担軽減など経済対策への追加歳出約28.9兆円を新規国債発行で賄う。国の財政は厳しい状況が続きそうだ。

 9月末の国の借金は、6月末に比べ、国債は約3.3兆円増の約1,099.7兆円で全体の約88%を占め、うち普通国債(建設国債、赤字国債等)は約9.5兆円増の約993.8兆円と過去最大となった。その内訳は、長期国債(10年以上)が約11.9兆円増の約768.7兆円、中期国債(2年から5年)も約3.6兆円増の約181.6兆円だが、短期国債(1年以下)は約▲6兆円の約43.5兆円。また、財投債や政府短期証券がやや減少し全体では微減となった。
国民1人当たりの借金は約1,002万円
 この「国の借金」約1,251.4兆円は、令和4年度一般会計第2次補正予算の歳出総額139兆2,196億円の約9倍、同年度税収見込み額68兆3,590億円の約18.3倍にあたる。年収500万円のサラリーマンが9,150万円の借金を抱えている勘定だ。また、わが国の今年10月1日時点での推計人口1億2,483万人(総務省統計局の概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、4年6月末時点の約1,005万円から約1,002万円に減少も、1,000万円を超える。

 わが国の公債残高(普通国債残高)は年々増加の一途を辿っているが、令和4年9月末実績の公債残高約993.8兆円が、4年度末(補正予算ベース)では約1,029.2兆円が見込まれる。4年度一般会計第2次補正予算税収見込み額約68.3兆円の約15.1年分に相当し、国民1人当たり約824万円にのぼり、将来世代に大きな負担を残す。ちなみに、国及び地方の長期債務残高は4年度末で約1,247兆円に膨らむ見込み。
参考:
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト

1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php

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