教育ローンの利子補給制度について

森田 和子
2022.12.08

 教育費を借りる場合には、使いみちが自由なフリーローンよりも教育ローンを利用する方が、金利が低くなる場合が多く、有利になります。銀行や信用金庫などでも提供されていますが、国の教育ローンも検討してみましょう。自治体の中には、国の教育ローンの利子を補給するところもあります。内容を確認していきましょう。
自治体が卒業するまでの利子を補給
 国の教育ローンは、「国の」とあるように、100%政府が出資する日本政策金融公庫の教育ローンです。入学金や授業料など学校への納付金の他にも、教科書代や下宿にかかる費用なども借りることができます。民間金融機関の教育ローンの多くが変動金利ですが、国の教育ローンは固定金利なので、返済終了まで返済額が代わることがありません。また、ひとり親家庭や経済的に困難な家庭には、金利の引き下げや、返済期間を長くするなどの優遇制度もあります。

 自治体の中には、国の教育ローンの利用者に利子補給を行うところがあります。利子補給とは、利子として支払った金額が支給される制度です。自治体独自の制度となるため、「高等学校・大学等教育資金利子補給制度」(富士見市)、「深谷市教育資金利子補給金制度」、「教育ローン利子補給金交付制度」(山県市)のように名称は統一されていません。利用するには、その自治体に住民登録があり、居住していること、市税などを滞納していないことなど、それぞれの自治体が定める要件を満たす必要があります。

 補給される金額も自治体により違いがあります。支払い利子の全額を補給するところもあれば、上限額を設けるところもあります。また、利子補給される期間も自治体により違いますが、在籍する学校の正規の修学期間とするところが多いようです。在学中は何かと費用がかかるので、卒業するまでの利子を補給してもらえれば家計は助かります。国の教育ローンでは、在学中は利子のみを返済する方法を選ぶことができます。この返済方法を選び、自治体の利子補給制度で利子の全額が補給されれば、在学中に返済の負担はありません。
他の金融機関の教育ローンが対象になる自治体も
 国の教育ローンだけでなく、他の金融機関の教育ローンについても利子補給の対象とする自治体もあります(郡上市など)。自治体が利子補給制度を実施しているかについては、それぞれの自治体のホームページに情報が載る場合もありますが、不明な場合などには市町村役場などの窓口で確認してみましょう。
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/

▲ PAGE TOP