控除対象外消費税とインボイス後の経理処理

村田 直
2023.01.12

控除対象外消費額等とは?
 周知されている通り、いわゆるインボイス制度が令和5年10月1日から始まる。制度開始に備えて様々な準備が必要だということが、かなり認識されてきていると思われるが、今回は、経理処理の部分について解説する。

 例えば、現在、インボイス制度施行前において、居住用賃貸建物を1,100万円(本体1,000万円+消費税100万円)で取得したとする。事業者が国内において行う居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象とはならないため、消費税部分の100万円については、資産に係る控除対象外消費税額等となる。

 この場合、居住用賃貸建物の取得価額に含めて、減価償却していくことも可能であるが、次のいずれかに該当する場合には、法人税法上は、損金経理を要件としてその事業年度の損金の額に算入することができる。
その事業年度の課税売上割合が80パーセント以上であること。
棚卸資産に係る控除対象外消費税額等であること。
一の資産に係る控除対象外消費税額等が20万円未満であること。
 上記に該当しない場合には、「繰延消費税額等」として資産計上し、次に掲げる方法によって損金の額に算入する(法人税の場合)。
繰延消費税額等を60で除し、これにその事業年度の月数を乗じて計算した金額の範囲内で、その法人が損金経理した金額を損金の額に算入する。
なお、その資産を取得した事業年度においては、上記によって計算した金額の2分の1に相当する金額の範囲内で、その法人が損金経理した金額を損金の額に算入する。
インボイス制度開始後の経理処理
 では、インボイス制度完全施行後(令和11年10月~)に、同様の取引を行ったらどうなるだろうか。
 例えば、免税事業者から店舗用建物を1,100万円で取得した場合、現在の居住用賃貸建物の取得と同様に、仕入税額控除の対象とならないことから、建物本体は1,000万円、消費税部分の100万円は資産に係る控除対象外消費税額等となるのか、答えは否である。この場合、1,100万円全額を建物の取得価額として法人税の所得金額を計算することになる。

 なお、令和5年10月から令和8年9月までの経過措置期間中については、免税事業者からの課税仕入については、その80%が仕入税額控除の対象として認められるため、建物本体は1,020万円、消費税80万円を仮払消費税等として処理することになる。
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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