いつでも直面しうる親の介護
2025.11.10
80代になると急上昇する要介護リスク
介護が必要になるということは、本人のQOLはもちろん、家族のライフプランにも関わってきますから、要介護になる可能性の高低は気になるところです。高齢になるほど介護が必要になるリスクが高まることは容易に想像できますが、実際にはどのくらいの割合なのでしょうか。
厚生労働省では介護報酬の改定など公的介護保険制度の運営に必要な資料を得るため、介護保険サービスの給付費などの状況を毎月集計しています。さらにそれを1年分まとめ、「介護給付費等実態統計の概況」として毎年公表しています。今年9月末に公表された「令和6年度介護給付費等実態統計の概況」からデータをひとつ見ていきましょう。
図表1は、公的介護保険の受給者数が人口に占める割合を5歳刻みで表したものです。介護が必要になっている確率と言い換えてもよいかもしれません。
65歳で公的介護保険の第一号被保険者になってからも、70代までは受給者の割合は1割未満です。とはいえ、加齢に従って僅かに割合は上昇していますが。
80代に入るとグラフの上向きが目立つようになり、その後はほぼ直線的に上昇していきます。80代後半では男性の3割弱、女性の4割強が公的介護保険を受給するようになります。90代前半になると男性の半数弱、女性は3人中2人が、さらに90代後半になると男性は3人中2人、女性は85%が受給しているという結果です。
女性のほうが長寿にも関わらず要介護の割合が高いことを、不思議に思われる方もいるかもしれません。筋肉量や骨密度、栄養摂取などの関係から女性のほうが身体的に虚弱になりやすく、また夫に先立たれた後、社会的に孤立してフレイルに繋がる場合があることが原因として指摘されています。また、夫婦二人のときは介護保険を使わずにお互いに介助しつつ生活し、妻が一人になってから介護保険を使うケースもあるでしょう。
厚生労働省では介護報酬の改定など公的介護保険制度の運営に必要な資料を得るため、介護保険サービスの給付費などの状況を毎月集計しています。さらにそれを1年分まとめ、「介護給付費等実態統計の概況」として毎年公表しています。今年9月末に公表された「令和6年度介護給付費等実態統計の概況」からデータをひとつ見ていきましょう。
図表1は、公的介護保険の受給者数が人口に占める割合を5歳刻みで表したものです。介護が必要になっている確率と言い換えてもよいかもしれません。
65歳で公的介護保険の第一号被保険者になってからも、70代までは受給者の割合は1割未満です。とはいえ、加齢に従って僅かに割合は上昇していますが。
80代に入るとグラフの上向きが目立つようになり、その後はほぼ直線的に上昇していきます。80代後半では男性の3割弱、女性の4割強が公的介護保険を受給するようになります。90代前半になると男性の半数弱、女性は3人中2人が、さらに90代後半になると男性は3人中2人、女性は85%が受給しているという結果です。
女性のほうが長寿にも関わらず要介護の割合が高いことを、不思議に思われる方もいるかもしれません。筋肉量や骨密度、栄養摂取などの関係から女性のほうが身体的に虚弱になりやすく、また夫に先立たれた後、社会的に孤立してフレイルに繋がる場合があることが原因として指摘されています。また、夫婦二人のときは介護保険を使わずにお互いに介助しつつ生活し、妻が一人になってから介護保険を使うケースもあるでしょう。
図1
人口に占める公的介護保険受給者数の割合(5歳年齢階級別)(2024年)
出所)
厚生労働省「令和6年度介護給付費等実態統計の概況」をもとに作成
元気な人が急に要介護になることも
図1のデータを見て、親の介護が身近な事だと感じられた方も多いと思います。この点を別の角度からも見てみましょう。
親が老いていき、徐々に介護が必要になっていくという漠然としたイメージをお持ちの方も少なくないと思います。図2は要介護者(要介護1~5)について介護が必要になった主な原因の割合を示したものです。原因として最も多い「認知症」(23.6%<2022年。以下同じ>)、さらに「高齢による衰弱」(10.9%)や「関節疾患」(5.4%)などのように、徐々に症状が進む疾患が多いのは事実です。しかし一方で「脳血管疾患」(19.0%)や「骨折・転倒」(13.0%)などのように突然発生するものもあります。しかもこの2つの原因だけで1/3近くを占めているのです。中でも「骨折・転倒」は元気で毎日運動を欠かしていなかった人がある日突然というケースもあるわけですから、高齢の親を持つ人は、いつ介護に向き合うことになってもおかしくないことを常に頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。
親が老いていき、徐々に介護が必要になっていくという漠然としたイメージをお持ちの方も少なくないと思います。図2は要介護者(要介護1~5)について介護が必要になった主な原因の割合を示したものです。原因として最も多い「認知症」(23.6%<2022年。以下同じ>)、さらに「高齢による衰弱」(10.9%)や「関節疾患」(5.4%)などのように、徐々に症状が進む疾患が多いのは事実です。しかし一方で「脳血管疾患」(19.0%)や「骨折・転倒」(13.0%)などのように突然発生するものもあります。しかもこの2つの原因だけで1/3近くを占めているのです。中でも「骨折・転倒」は元気で毎日運動を欠かしていなかった人がある日突然というケースもあるわけですから、高齢の親を持つ人は、いつ介護に向き合うことになってもおかしくないことを常に頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。
図2
要介護(1~5)になった主原因の割合(2010~22年)
(※)
「その他」には、呼吸器疾患(1.7%<2022年>)、視覚・聴覚障害(0.9%<同>)が含まれる。
出所)
厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」(2010、16、22年)をもとに作成

森 義博(もり・よしひろ)
公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団 シニアアドバイザー
CFP®、1級FP技能士、1級DCプランナー、ジェロントロジー・マイスター
1958年横浜市生まれ。大学卒業後、国内大手生命保険会社入社、2001年から同グループの研究所で少子高齢化問題、公的年金制度、確定拠出年金、仕事と介護の両立問題などを研究。2015年ダイヤ高齢社会研究財団に出向し研究を継続。2024年4月から現職。
趣味はピアノ演奏と国内旅行(とくにローカル鉄道)。
CFP®、1級FP技能士、1級DCプランナー、ジェロントロジー・マイスター
1958年横浜市生まれ。大学卒業後、国内大手生命保険会社入社、2001年から同グループの研究所で少子高齢化問題、公的年金制度、確定拠出年金、仕事と介護の両立問題などを研究。2015年ダイヤ高齢社会研究財団に出向し研究を継続。2024年4月から現職。
趣味はピアノ演奏と国内旅行(とくにローカル鉄道)。








