社長のプライベート費用は賞与扱い

今村 京子
2023.01.19

法人が社長のプライベート費用を支払った場合はダブルパンチ
 2022年12月27日朝日新聞デジタルからの記事を抜粋し紹介する(ただし、名称部分は省略)。
△△事務所(東京都港区)とそのグループ会社が、事務所の所属タレントに「お年玉」として渡した約9千万円を経費として計上していたことがわかった。東京国税局は税務調査で、この支出は事務所の〇〇社長の個人的な支出で経費にはあたらないと判断し、事務所側に所得税の源泉徴収漏れがあったと指摘。追徴税額は不納付加算税を含めて約4千万円とみられる
 この記事において、税務上、注意すべき点は主に2点ある。

 まず、1つ目として、お年玉はあくまでも個人的な支払いであり、会社としてはそのお年玉を支給した社長への役員賞与扱いとなり、法人税法上は費用とすることが出来ない点である。次に2つ目としては、役員賞与とされた場合には、法人は役員個人から源泉所得税を徴収する必要がある点である。

 このように法人税と所得税において二重課税されるため、税理士業界では、役員賞与はダブルパンチや往復ビンタとも言われている。
役員賞与は原則損金不算入
 法人が役員に対して支給する給与の額のうち、「定期同額給与」、「事前確定届出給与」及び「業績連動給与」のいずれにも該当しないものの額は損金算入できない。つまり、役員に支払う上記以外の臨時的な給与の額は、法人税法上、役員賞与扱いとなり損金不算入である。
源泉徴収義務は法人にあり
 法人が役員や従業員に給与などを支払う場合には、その支払いの都度、支払金額に応じた所得税等を差し引くことになっている。そして、差し引いた所得税等は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納付しなければならない。このように、所得税等を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者という。

 上述のケースでは、東京国税局は源泉徴収義務者である△△事務所から、役員賞与に係る源泉所得税を徴収し、△△事務所はその額に相当する金額を社長から徴収することとなる。

 普段から、会社経費と社長プライベート費用は明確に分けておくことが重要である。
今村 京子(いまむら・きょうこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。
平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。
年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で娘2人。趣味は英語学習とガーデニング。

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