7割以上の学生、卒業後に就職した会社で「定年まで勤めたい」

半田 美波
2023.01.23

定年まで勤続希望の理由は「安定した仕事に就きたいから」
 連合(日本労働組合総連合会)は、学生の労働に対する意識や実態を把握するために、「学生を対象とした労働に関する調査」を2022年10月31日~11月1日の2日間、インターネットで実施し、学生(高校生、高専生、大学生、専門学校生、短大生、大学院生)の男女1,000名の回答をもとに調査結果を2023年1月13日に公表しました。

 卒業後に就職希望の人に、就職活動の際の企業・組織選びで重視したいことを尋ねたところ、上位の回答は、高校生・高専生では「やりがいがありそうな仕事である」(30.5%)、「賃金(給料)が高い」(28.0%)、「社内の雰囲気が良い」(26.8%)、大学生等では「賃金(給料)が高い」(39.7%)、「無期雇用(正社員)である」(39.1%)、「やりがいがありそうな仕事である」(38.3%)となりました。

 全回答者に、卒業後に就職した会社で定年まで勤め続けたいかを尋ねたところ、「勤め続けたい」が77.1%に対し、「勤め続けたくない」は22.9%となり、大多数が安定志向であることが判明しました。定年まで勤め続けたい人にその理由を尋ねたところ、「安定した仕事に就きたいから」(61.1%)という回答が突出しており、2位の「長く一つのことに取り組みたいから」(28.4%)を除けば、3位の「転職や独立は大変そうだから」(23.7%)や4位の「変化が苦手だから」(20.1%)からも現代の学生の安定志向が窺えます。
終身雇用を望む若者たち
 一方、定年まで勤め続けたいと思わない人にその理由を尋ねたところ、男性では「転職して給料を上げたい」、「一つの仕事にこだわらず、その時々で自分に合った仕事をしたい」、「賃金が高いところにその都度転職したい」など、女性では「一度や二度は環境を変えて、新鮮な気持ちで働きたい」、「キャリアアップを目指したい」、「しんどい思いをしてまで続けたくない」などの回答がありました。

 日本の高度経済成長期に「終身雇用」という働き方が定着し、その後、終身雇用は崩壊したといわれてきましたが、これから就職を迎える若い世代に、定年まで同一企業で雇用され続けたいという安定志向が多くなっているようです。多くの企業が有期雇用・非正規雇用での求人をされていますが、企業が安心して終身雇用が維持できる安定した社会情勢になることを期待したいです。
参照:
半田 美波(はんだ・みなみ)
社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役

診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。

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