会社を高く売却するマル秘テクニック

今村 仁
2023.03.16

会社の価格ってどうやって決まる?
 会社を高く売却するポイントはいくつかあるが、特にお勧めしたいのが、「売却を決めたら、最後は全力疾走する=売却直前期の売り上げや利益の水準を上げる」です。

 そもそも会社の価格ってどうやって決まるのだろうか?

 皆さんが不動産(土地)を買う時をイメージしてみよう。ご自身の家の隣で小さな不便な土地が売りに出たら、どうであろうか。一般的には、家も建たないような大きさで、更に環境面などで不便ということであれば、買い手はつきにくく、買い手がついたとしても安値になるかもしれない。一方、隣人であれば、小さければトータルコストもそれほどかからず、また悪い人に買われることを恐れて、坪当たり単価が多少高くても、人によっては買おうと思うのではないだろうか。

 つまり、モノの価格というのは、売り手や買い手、更にはそれぞれの詳細な立場などによって、いかようにも変化するものである。売り手と買い手がそれぞれ納得すれば、それがある意味正しい価格ということになる。

 とはいえ、土地であれば、「路線価」や「固定資産税評価額」、「取引事例」などがあり、ある程度の売り手及び買い手の目線共通項がある。

 では、会社の価格はどうであろうか。会社の価格に、路線価などの目安となる公的指標はない。また、スモールになればなるほど、取引事例といえるほどのデータストックもまだない。

 では何もないのかというと、特にスモールM&Aでよく用いられるのが、下記の簡便的価格算定方法である。
(スモールM&Aでよく用いられる簡便的価格算定方法)
売却直前の利益金額×○年分+時価純資産価額
売却を決めたら、最後は全力疾走する
 会社の価格算定方法としては、一般的に「インカムアプローチ」や「マーケットアプローチ」、「ネットアセットアプローチ」等があるが、スモールM&Aの現場では、これらを話すよりも、「売却直前の利益金額×○年分+時価純資産価額」を基準にお話しする方が、売り手も買い手も納得されることが多い。

 前半の「売却直前の利益金額」は、営業利益や税引き後利益をもってきたり、減価償却費を加味したりなどはあるが、とにかく直近の儲けの○年分を、営業権的なイメージで買い手が支払うという感じである。○年分は、例えば、売却対象の儲けの構造が長く続きそうであれば、又はそういった業種であれば、長くとれ、一過性の部分があるとなれば短くなるが、一般的には、「1年~3年」が多いように思う。

 後半の「時価純資産価額」は、貸借対照表の資産および負債を時価算定して、つまり、在庫や機械などの資産を時価に洗い替えして、負債については退職金などの隠れ負債があればそれを加味して、その差額として求める。

 なるべく高く会社を売却しようと考えると、前述の「スモールM&Aでよく用いられる簡便的価格算定方法」でもわかるように、「売却直前期の売り上げや利益の水準を上げる」ことが大切である。つまり、売却前は、これが最後の大仕事と本業に精を出されると、それがそのまま価格に反映されることが多いと知っておいて欲しい。

 もしそれほど売り上げや利益を上げられなくとも、「売り上げや利益が上がり傾向なのか」、「下がり傾向なのか」というトレンドも価格算定や他の条件面に大きく影響するので、例えわずかでも上昇局面をつくっておくということは、売り手にとって売却前に行っておくとても大切なことになる。
今村 仁(いまむら・ひとし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

京都府京都市出身。立命館大学経営学部企業会計コース卒。会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。

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