健康保険証に旧姓を併記する方法

沖田 眞紀
2023.03.20

 夫婦別姓は、日本ではまだ法律上認められていませんが、キャリアの分断や仕事上の不利益などを避けるなど、様々な理由で旧姓のまま仕事をする方が増加しています。住民票、マイナンバーカード、パスポート等は、すでに旧姓併記できるようになっていましたが、昨年より健康保険証も旧姓併記が認められるようになりました(被保険者のみ。健康保険組合等については未対応の場合もあります)。

 また、性同一性障害を有する方が、健康保険証に通称名を記載することも認められるようになりました。
 どちらの場合も必要書類を添付して申出を行う必要があり、申し出ない場合は通常のとおり戸籍上の氏名が記載されることになります。

 健康保険証は医療機関を受診する上で大変重要な役割を持っていますが、2024年秋にはマイナンバーカードに一本化されるという発表もあり、今後の動向に注意が必要です。
旧姓併記の申出を行う場合
(1)
申出に必要な書類
被保険者証氏名欄の旧姓併記に関する申出書
②旧姓併記された住民票の写し、戸籍謄(抄)本等の旧姓と戸籍性が確認できる書類のいずれか1点
健康保険被保険者証再交付申請書
(2)
健康保険証券面
①表面:氏名→戸籍上の氏と名の間に括弧書きで旧姓を記載(最大13文字まで)
②裏面:備考欄→「氏名欄の括弧内は旧姓」と記載
性同一性障害を有する方が通称名記載の申出を行う場合
(1)
申出に必要な書類
被保険者証への通称名記載に関する申出書
②医師の診断書等の性同一性障害を有することを確認できる書類
③通称名が社会生活上、日常的に用いられていることを確認できる書類
④健康保険被保険者証再交付申請書(旧姓併記の場合と同じ)
(2)
健康保険証券面
①表面:氏名→通称名を記載  性別→「裏面参照」と記載
②裏面:備考欄→「戸籍上の氏名」と「性別」を記載
上記は全国健康保険協会(協会けんぽ)に申出の場合です。
申出の際は、事業主を経由して、健康保険証に記載されている協会けんぽ都道府県支部に、必要書類を郵便で送付します。
【参考】
沖田 眞紀(おきた・まき)
特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。

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