事業承継のポイントと対策

山崎 美穂
2023.04.06

会社の承継に必要な期間はどのくらい?中小企業庁の統計
 経営者の方は“会社の将来”を常に考え、経営戦略や採用等の計画を立てられていることと思うが、“ご自身(経営者)の引退と会社のその後”についても見据えているだろうか?

 後継者候補に会社を承継するにしても、M&A(第三者承継)で成約した企業に会社を譲り渡すにしても、引継ぎ期間が必要になる。

 中小企業庁が『事業承継の意思を伝えられてから経営者に就任するまでの期間』として、実際にどのくらいの期間がかかったのかを、会社を承継した方に質問し統計したものが公表されている。
先代経営者の親族が承継
5年超・・・43.9%/1年~3年未満・・・20.1%
社内役員・従業員からの昇格で承継
1年~3年未満・・・30.0%/半年未満・・・25.4%
外部招へい・取引先・親会社からの派遣・その他で承継
半年未満・・・45.5%/1年~3年未満・・・21.5%
 自社を知っていて引継ぎの基盤があるか、業界に精通しているか、経営者としての力量・経験はあるかなど、会社の業種や規模等によっても必要な期間は変わってくると思われるが、上記より余裕を持った期間で想定・計画されることをおすすめしたい。
当てはまっていたら注意!!事業承継アルアル
 後継者候補がいる方にも、一度お目通し頂きたいのが下記2つの項目だ。
後継者候補に対して、会社を託す意思があることを明確に伝え、“承継の意思がある”と返事を貰っているか?
下記(1)~(3)の項目で1つも「No」にあてはまるものは無いか。
(1)
財務、税務、人事などで問題やトラブルの種になりそうな要素は無い。
(2)
経営状況・経営課題等の把握(見える化)はされていて、重要な書類関連はまとまっている。
(3)
株式や事業用資産を譲渡する場合の買取資金の算定と、講じれる節税対策案を見繕っている。
□の項目のいずれかに「No」があった方
 もしかしたら、現経営者の方だけが後継者候補だと思っている(想定している)だけで、相手には伝わっておらず、後継者になる意思が無い可能性もある。まずは後継者候補の方への確認が必要だ。
後継者候補に承継打診をしていない明確な理由がある場合を除く。
 また、もし後継者になる意思があったとしても、会社の実態を見てその後の経営ビジョン等が立てられない会社であると、『承継は難しい』と判断されて辞退されてしまう可能性もある。

 後継者候補の方の理解と安心を得やすくすべく、社内整備や必要資金額の算定、税金・節税対策など予めハードルを把握し、対処していくことも大切であると考える。

 また、顧問税理士の方に相談することで、ヒントや新しい情報を入手することもできるかもしれない。早めの対策でお得な支援策が活用できる可能性もあるので、事業承継等の知識がある相談先を作っておくと良いだろう。
事業承継診断票
 最後に紹介したいのが、中小企業庁で公開されているチェックシートだ。

 2~3分でできてしまう簡単なもので、事業承継に関する課題の抽出を行うことができるので、参考資料として一度試されてみてはいかがだろうか。
山崎 美穂(やまざき・みほ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

栃木県出身。一般企業で経理・総務を経験し、現法人へ。企業で役立つ支援策・補助金等の最新情報を収集、お役立ち情報としてSNSやホームページで発信中。
趣味は釣りと食べ歩き。
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