がんの自由診療特約の活用法についての考察

高橋 義人
2026.05.28

 3月度のコラム(NO.5016)にてコメントさせていただきました「がんの自由診療特約」について、活用方法についての質問を複数いただいておりましたので、今回は現状のがん治療を鑑み、がんの自由診療特約の具体的な活用方法についてお話をさせていただきます。
がんゲノム医療について
 3月度のコラムにてコメントさせていただきました通り、現状、いわゆる大病院において自由診療の治療は積極的に行われてはおりません。
 一方、がんゲノム医療においては、一部の大病院で自由診療を含めた治療を積極的に行っていこうという動きがあることも事実です。

 がんゲノム医療について簡単に整理をしておきます。
 がんは今でも原因のわからない病気なのですが、遺伝子の異常で発症する病気だということまではわかってきています。
 そこで、がんゲノム医療ではこの遺伝子の異常に着目し、患者さんが胃がんや肺がんなど、どの部位のがんなのかではなく、まずはどの遺伝子の異常によりがんを発症しているのかを検査(がん遺伝子パネル検査)によって確認します。
 検査によりがんの原因となる遺伝子が確認できた場合には、次にその遺伝子の異常に対して治療効果が期待できる治療薬(分子標的薬等)があるかどうかを確認し、治療薬が見つかった場合には患者さんのがんの種類に関係なく、見つかった治療薬で治療をしていくという新しい考え方の治療ががんゲノム医療になります。

 従来から行われているがん治療は診療(治療)ガイドラインという治療のマニュアルに沿って、がんの種類ごとに基本的にはすべての患者さんに対して同じ治療をするという考え方で行われております。(臓器別治療)
 従来の治療法を否定するわけではありませんが、がんの原因となる遺伝子を確認し、確認できた場合にはその遺伝子の異常に対して治療効果が期待できる治療薬を探して治療をしていくという考え方は、個人的には非常に理にかなった考え方だと思います。
 また、遺伝子の異常についても原因や異常を発症している箇所が患者さんごとに異なるため、個別化医療により患者さんごとによって最適な治療法を提供していくということは、非常に有効な治療法だと思います。
がんゲノム医療を検討するにあたっての課題
 既にがん遺伝子パネル検査のいくつかは保険適用となっていることから、希望する患者さんはがん遺伝子パネル検査を受け、がんゲノム医療を検討してもよいと思うのですが、ここに大きな課題があります。

 現在がん遺伝子パネル検査を保険適用で受けることができる患者さんは、以下のいずれかの条件を満たす患者さんになります。
標準治療が終了した患者さんや効果が期待できない患者さん、または標準治療が終了する見込みの固形がんの患者さん
原発不明がんの患者さん
希少がんの患者さん
 実は保険適用でがん遺伝子パネル検査を受けることができる患者さんは、非常に限られています。また、保険適用でがん遺伝子パネル検査を受けることができるのは、一生に一回だけとなっています。
 条件に当てはまらない患者さんががん遺伝子パネル検査を受けようとすると、検査費用は全額自己負担の自由診療となり、実際の検査費用は数十万円から高いものでは100万円を超える検査もあります。

 また検査を自費で受けることができたとしても、見つかる治療薬の多くは未承認薬や適用外薬になってしまっています。
 その場合の治療費は全額自己負担の自由診療となってしまい、高いものでは毎月の治療費が数百万円になるようなものもあります。

 ここにがんの自由診療特約を使ってみるのはどうでしょうか。
 例えば慶應義塾大学病院は、積極的にがんゲノム医療による治療を行っています。
 ゲノム医療の考え方に興味を持たれた患者さんが自費でがん遺伝子パネル検査を受け、原因となった遺伝子が確認できた場合、そのまま自費で治療を行う。
 相当な費用が掛かる検査・治療になると思いますが、このケースの場合、がんの自由診療特約は大きな力を発揮します。

 納得できるがん治療をより多くの患者さんに受けてもらうための一つの選択として、がんの自由診療特約の具体的な活用方法をお客様にお伝えいただきたいと思います。

 今回は「がんの自由診療特約の具体的な活用方法」についてお話しさせていただきました。
高橋 義人(たかはし・よしひと)
株式会社M&Fパートナーズ 代表取締役
一般社団法人 健康事業支援機構 医療コーディネーター
ユニバーサルライフ株式会社 執行役員 東京第2支社長

1988年明治大学卒業後、外資系大手生命保険会社に23年間勤務。静岡・埼玉・大阪にて支社長を務め、2011年に独立。
その後、「がん治療とお金」のコンサルティング会社を設立し、現在に至る。
医療コーディネーターとしてがん患者と向き合い、患者目線に立った治療に関する情報提供・病院紹介・治療紹介・病院へのアテンド等の患者支援活動の傍ら、セミナー講師としてがん患者の目線に立ったがんに関する様々な講演を、日本全国で毎年150回以上行っている。
ホームページ https://mfpartners.co.jp

▲ PAGE TOP