鉄道各社が「鉄道バリアフリー料金」の導入へ

高橋 浩史
2023.04.10

 首都圏のJRと私鉄などの鉄道会社の運賃が引き上げられました。いよいよ鉄道にも値上げの波が来たのでしょうか? 値上げの意図と新しい取り組みを紹介します。
鉄道バリアフリー料金を導入
 2023年3月18日より、JR東日本、東京メトロ、私鉄の一部の普通運賃が一律で「10円」上乗せされました。運賃が引き上げられた鉄道会社は下記のとおりです。
東京メトロ、小田急電鉄、東武鉄道、西武鉄道、相模鉄道、横浜高速鉄道(全区間)
 普通運賃は10円の上乗せですが、定期券についても、例えばJR東日本の場合、1か月の通勤定期では280円の加算になります。通学定期券については、各社ともに引き上げの対象外となっていて、家計への一定の配慮がなされています。

 今回運賃が引き上げられた背景は、「鉄道駅バリアフリー料金」の導入です。2021年12月に創設された制度で、鉄道の駅などにホームドアやエレベーターなど、バリアフリー設備の整備・推進のために、広く利用者に負担してもらう主旨です。

 今後も、JR西日本、阪神電鉄など関西方面の私鉄、福岡の西日本鉄道などでも、バリアフリー料金制度の導入に伴う運賃引き上げが予定されています。
オフピーク通勤で定期券が割安に
 一方で、JR東日本では改定と同時に、通勤定期券に「オフピーク定期券」を導入しました。朝のラッシュ時(ピーク時間帯)には使えず、それ以外の時間帯で使える定期券です。

 対象区間は首都圏の主要路線内(東京の電車特定区間)で、ピーク時間帯以外に利用すると、通常の定期券料金よりも10%ほど割安になります。

 オフピーク定期券を利用できない時間帯は駅によって異なります。例えば、新宿駅では7時30分から9時、横浜駅では7時から8時半といったように、それぞれピーク時間帯が設定されています。ピーク時間帯に利用する場合には、通常のIC普通運賃が必要です。

 JR東日本のオフピーク通勤定期の導入は、表向きはラッシュ時の混雑緩和のためとされていますが、季節や時間帯によって料金を変える、いわゆる「ダイナミックプライシング」の導入へ向けた布石と言えるかもしれません。
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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