失業保険 自己都合退職でもすぐにもらえる?

沖田 眞紀
2023.05.25

自己都合退職の場合の受給開始時期を会社都合と同水準に
 会社を退職、もしくは会社が倒産した場合、失業保険(雇用保険求職者給付基本手当)を受給しながら転職先を探す、という方も多いと思います。失業保険の受給開始時期、所定給付日数は、離職理由によって異なっており、現在は会社都合退職(倒産、解雇など)の方が、自己都合退職(転職、定年など)よりも早く受給でき、給付日数も長く設定されています(雇用保険に加入していた期間や離職時の年齢によって違います)。

 しかし、新しい資本主義実現本部(「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現していくため、内閣に設置)による第14回新しい資本主義実現会議の中で、自己都合退職の場合の受給開始時期を、会社都合と同水準にする方向で検討に入っていることが分かりました(所定給付日数の見直しについては言及されていません)。

 円滑な労働移動の促進という労働政策の下、長い給付制限により就職を急ぎ、結果的に雇用のミスマッチが発生することを防ぐ、ということにつながるため、今後の動向が期待されています。

 現在の受給開始時期及び所定給付日数は、下記のとおりとなっています。
<会社都合退職の場合>
受給開始時期:
ハローワークで求職申込みをした後、待機期間7日経過後
所定給付日数:
  被保険者であった期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
区分 30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上
35歳未満
120日 180日 210日 240日
35歳以上
45歳未満
150日 240日 270日
45歳以上
60歳未満
180日 240日 270日 330日
60歳以上
65歳未満
150日 180日 210日 240日
<自己都合退職の場合>
受給開始時期:
ハローワークで求職申込みをした後、待機期間7日、さらに給付制限期間2ヶ月経過後
(5年間のうち3回自己都合退職を行った場合、給付制限期間が3ヶ月となります)
所定給付日数:
  被保険者であった期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
区分 全年齢 90日 120日 150日
【参考】
沖田 眞紀(おきた・まき)
特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。

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