火災保険の水災リスクが細分化される

高橋 浩史
2023.08.10

 台風や豪雨などで自然災害が増えている中、損害保険料率算出機構から、火災保険参考純率改定についての発表がありました。概要を見ていきましょう。
水災リスクに応じて料率が細分化される
 今回の参考純率改定の概要は次の2点です。
住宅総合保険の参考純率について全国平均で13.0%引上げ
水災に関する料率を地域のリスクに応じて5区分に細分化
 また、改定の背景として、損害保険料率算出機構によると以下の2点が挙げられています。
自然災害などによる保険金支払いの増加とリスク環境を踏まえた対応
水災料率における契約者間の保険料負担の公平化など
 こうした背景を踏まえた改定の大きな特徴は、これまで全国一律だった水災補償の料率を、地域の水災リスクに応じて1等地〜5等地の5区分に、「市区町村」単位で細分化されることでしょう。

 具体的には、リスクが最も低い(保険料が最も安い)グループが1等地、リスクが最も高い(保険料が最も高い)グループが5等地となり、保険料が最も高い地域では、最も安い地域に比べると保険料は1.2倍(保険料全体[火災・風災・雪災・水災などの補償全体]の数字)になるようです。

 これにより、リスクの違いによる保険料の公平化を図るとしています。
2024年度に保険料の改定が?
 火災保険の保険料は、損害保険会社が参考純率を目安として決定します。参考純率の引き上げによる保険料改定の時期はまだわかりませんが、いまのところ来年度以降になる見通しとの報道が多くなっています。

 物価高が進む中でも、生活に一番身近な保険であり、近年の自然災害が頻発する状況を考えると、火災保険の重要性はこれまで以上に高まると思われます。

 家賃・賃金が上がらないまま保険料が値上げされれば、家計にとっては負担増となります。顧客の住む地域の実情に合わせた、こまかなコンサルティングにより、火災保険や地震保険の大切さを周知する努力がよりいっそう求められそうです。
【参考】
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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