鉄道会社の改札、クレカ決済・QR決済が進む

高橋 浩史
2023.09.07

 交通系ICカードが主流の鉄道会社の改札に、クレジットカードなど新たなキャッシュレス決済導入の動きがあります。その種類や背景を見ていきます。
東京メトロがタッチ決済の実証実験
 東京メトロは、2024年度中にクレジットカードを自動改札機にかざして乗車する、「タッチ決済」を活用した乗車サービスの実証実験を開始すると発表しました。

 三井住友カードの公共交通向けソリューションである、「stera transit(ステラ トランジット)」を利用するもので、クレカ決済で乗車するには、企画乗車券を乗車券販売サイトで事前に購入する必要があります。

 また、今回の実証実験では、スマートフォンにQRコードを表示して自動改札機にかざすスマホ決済や、デビットカード・プリペイドカードを利用した乗車についても、実証実験の対象になる模様です。
QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
外国人観光客などへの利便性が高まる
 クレジットカードのタッチ決済導入の背景としては、鉄道会社で現在主流になっている交通系ICカードを持たない海外からの観光客などへの、サービス向上が大きな目的と思われます。

 海外の多くの都市では、公共交通機関でクレジットカード決済が普及しています。そういったシステムに馴染んだ外国人にも迷わずに利用できるようになれば、券売機での切符購入の手間が省け、利便性が高まります。

 仮にICカードを利用するにしてもチャージが必要であり、チャージ残高の心配といった面もあります。クレジットカードで乗車できれば、残高不足の心配もなくなるでしょう。

 また、鉄道会社側の対応についても、外国語に不慣れな窓口係員の対応が軽減される利点が考えられ、業務効率の向上も見込めます。

 最近では、世界的な半導体不足で、SuicaやPASMOといった交通系ICカードの販売が一時中止されています。そういったときの代替え決済手段としても、クレジットカードのタッチ決済の早期普及が望まれるのではないでしょうか。
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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