振り込め詐欺の被害を取り戻せる場合があります

森田 和子
2023.09.11

 「還付金があります」、「あなた名義のカードが使われています」 など、さまざまな手口で近づいてくるのが振り込め詐欺です。「すぐに振り込まないと大変なことになる」、「今日までが期日」などと急がせるので、言葉巧みに操られてしまい、金融機関のATMなどから振り込んでしまいます。 警察や自治体などからも注意喚起がなされていますが、その件数は減らず、 2022年の被害件数は17,570件、合計被害総額は370億円を超えています(※)。

 もしも 被害を受けてしまった場合には、すぐに警察や金融機関に連絡しましょう。振り込んでしまったお金を取り戻せる場合があります。
振り込め詐欺は、すぐに警察へ相談を
 振り込め詐欺の被害を受けた人の財産的被害の迅速な回復を図るため、「振り込め詐欺救済法」が2008年6月から施行されています。対象になるのは、預金口座などへの振り込みを利用した財産被害で、いわゆる「オレオレ詐欺」、「架空料金請求詐欺」、「融資保証金詐欺」、「還付金詐欺」、ヤミ金融や未公開株詐欺などの振込みも対象になります。被害者が申請すると、被害者が振り込んだ口座を金融機関が利用停止(凍結)します。この口座に残っている金額から、被害回復分配金として、被害者へ支払われます。そのため、凍結された口座の残高が、振り込んでしまった金額よりも少ない場合には、被害額の一部しか取り戻すことができず、全く取り戻せない場合もあります。また、被害者が複数いる場合には、それぞれの被害額などに応じて分配されることになります。

 振り込め詐欺の被害に遭ってしまったと気づいたときには、すぐに警察に相談しましょう。その後、速やかに振り込み先の金融機関に連絡して、振り込んだ口座の凍結を求める必要があります。
「すぐに振り込まない!一人で振り込まない!」
 信じがたいことですが、預金保険機構などを装い、この振り込め詐欺救済法にもとづく返金制度を装う詐欺もあるようです。預金保険機構の職員を名乗り、いかなる名目であれ金銭を要求してくるのは詐欺行為であると金融庁が注意を促しています。また、振り込め詐欺の被害にあわないためには、「すぐに振り込まない!一人で振り込まない!」ことが重要だとしています。その時々の社会情勢の変化に応じた振り込め詐欺も発生します。どの世代でも日頃から被害を受けないように用心していきましょう。
参考:
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

ライフプランシミュレーションとマイホーム・老後の資金計算
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