よりよい生活のための「金融リテラシー」

森田 和子
2023.10.19

 投資商品や保険、ローンでも、数ある中から一つを選ぶのは難しいものです。かといって「絶対にこれがおすすめです」と言われても、その言葉を全面的に信じてよいものか迷ってしまいます。どれを選んだとしても最終的には「自己責任」になるのですから、自分で選べる力、騙されない力が必要です。
最低限、身に付けたい15項目
 「金融リテラシー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、お金に関する知識や情報力のことで、経済的に自立し、よりよい生活を送っていくために欠かせないものです。金融庁の金融経済教育研究会は、以下の「最低限身に付けるべき金融リテラシー」を挙げています。
(1)
適切な収支管理(赤字解消・黒字確保)を習慣にすること。
(2)
ライフプラン(人生設計)を明確にすること。
(3)
契約をするとき、契約にかかる基本的な姿勢(契約書をよく読む、相手方や日付・金額・支払い条件などが明記されているかを確認、不明点があれば確認するなど)を習慣にすること。
(4)
情報の入手先や契約の相手方である業者が信頼できるかどうかを必ず確認すること。
(5)
インターネット取引の利点と注意点を理解すること。
(6)
金融と経済の基礎知識(単利・複利などの金利、インフレ、デフレ、為替、リスク・リターンなど)や金融経済情勢に応じた金融商品の利用選択について理解すること。
(7)
取引の実質的なコスト(価格、手数料)について把握することの重要性を理解すること。
(8)
自分にとって保険でカバーしたい事態(死亡、病気、火災など)が何かを考えること。
(9)
保険でカバーすべき事態が起きたとき、必要になる金額を考えること。
(10)
住宅ローンを組む際の留意点(無理のない借入限度額の設定や返済計画を立てることの重要性、返済を難しくさせる事態に備えることの重要性)を理解すること。
(11)
無計画・無謀なカードローン・クレジットカードなどの利用を行わないことを習慣にすること。
(12)
高いリターンを得ようとする場合には、より高いリスクを伴うことを理解すること。
(13)
資産形成における分散(運用資産の分散、投資時期の分散)の効果を理解すること。
(14)
資産形成における長期運用の効果を理解すること。
(15)
金融商品を利用するにあたり、外部の知見を適切に活用する必要性を理解すること。
セミナーは主催者を確認
 15項目の中には、専門的な知識もありますが、落ち着いて考えれば常識で判断できることもあります。金融リテラシーを高めるには、金融機関や自治体などが行うセミナーに参加するもの有効な手段の一つです。その際には、必ず主催者の情報を確認した上で利用するようにしましょう。

 各年代で身に付けたい金融リテラシーについては、「金融リテラシー・マップ」が公表されています。これは、主に金融教育の担当者向けの資料ですが、年齢層別に身に付けておきたい内容が具体的にまとめられているので、一般消費者にとっても参考になります。金融広報中央委員会のサイト「知るぽると」で読むことができます。
参考:
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

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