管理職の4人に3人は部下のテレワークの仕事ぶりに満足

庄司 英尚
2023.12.18

5類移行後に行われたテレワークに関する調査
 公益財団法人日本生産性本部が8月に「テレワークに関する意識調査」結果を公表している。本調査は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行してから約1か月後の5月29日~6月6日にインターネットを通じて実施されたものだ。

 調査結果によると、管理職から見た部下のテレワークの現状や職場の状況についての評価に関する質問には、管理職の76.1%が、部下のテレワークでの仕事ぶりに満足(「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計)している。また、管理職の75.6%が、勤め先全体が行っている「テレワークという働き方」がもたらす効果に満足していると答えており、管理職の4人のうち3人はテレワークについて好意的にとらえていることがわかった。
部下の労務管理で最も留意する「仕事の成果を適切に評価できているか」
 テレワークを行っている部下に対する労務管理上の視点から、管理職が留意している点を聞いたところ(複数回答)、「仕事の成果を適切に評価できているか」が77.5%と最も多くなった。続いて「指導やサポートが適切に行えているか」(74.0%)、「勤務時間が規定に沿っているか」(72.8%)、「仕事ぶり(プロセス)を適切に管理できているか」(71.1%)という結果となっており、これらはもとよりいずれの項目も3分の2以上の回答者が「留意している」と回答しているが、その中で「健康管理ができているか」については、68.5%と、他の項目に比べて留意する回答がやや少なかったのが気になったところである。
「押印の廃止や決裁手続きのデジタル化」は解決していない一番の課題
 テレワークで働くときの課題に関する調査結果からは、管理職ではないテレワーカーは「仕事ぶり(プロセス)についての評価の適切さ」「仕事の成果についての評価の適切さ」、管理職は「孤独感や疎外感の解消策」「上司・先輩からの十分な指導やアドバイス」「オーバーワークを回避する制度や仕組み」などを課題と感じていることが明らかになった。

 また、業務遂行にかかわる仕組みについての課題として、管理職ではないテレワーカー、管理職ともに「課題だが解決していない」という回答が最も多かった項目は、「押印の廃止や決裁手続きのデジタル化」であった。このあたりは経営にも影響を与えかねない重要事項であり、早急な対応が必要である。

 今回の調査目的は、管理職でないテレワーカーと管理職の間にあるテレワークに対する意識や考え方の相違点を明確化することであった。各企業もこれらの調査結果を活用し、テレワークで働くすべての人が満足してもらえるよう制度の見直しや課題解決に取り組む必要があるといえるだろう。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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