倒産防止共済、再加入後の損金を一部規制

村田 直
2024.01.18

令和6年度税制改正大綱、発表
 令和5年12月14日に与党から令和6年度税制改正大綱が発表された。その中に、中小企業倒産防止共済に関する改正が盛り込まれている。

 中小企業倒産防止共済制度とは、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度で、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられる(ただし、借入後には借入額の10分の1の掛金は取り崩される)。
倒産防止共済、解約後の再加入は2年間損金算入特例なし
 今回、税制改正大綱に盛り込まれた改正は、この中小企業倒産防止共済に関する、解約後に再契約した場合の取扱いである。

 特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例における独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済事業に係る措置について、中小企業倒産防止共済法の共済契約の解除があった後同法の共済契約を締結した場合には、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する当該共済契約に係る掛金については、本特例の適用ができないこととする、とされており、法人税、所得税ともに同様の取扱いとなるようだ。

 改正の時期については、令和6年10月1日以後の共済契約の解除について適用される予定である。
解約直後の再加入自体はOK
 中小企業倒産防止共済は、最大月額20万円、年間240万円、総額800万円に達するまで掛金を支払うことができ、支払った掛金は一定の要件の下、100%損金算入される(ただし、個人の不動産所得の場合は損金算入不可)。加入後40ヶ月が経過すれば、いつ解約しても掛金は100%戻ってくる。

 800万円まで掛金を払い切ってしまえば、年間240万円の損金算入枠を利用することができないため、上限に達した事業者の中には、いったん解約して、修繕費や従業員の退職金などに充当し、解約後すぐにまた再加入するケースもある。今回の改正は、そういった動きを制限するためのものと考えられる。

 ただし、あくまで解約直後の再加入について、掛金は損金算入されないが、本来の連鎖倒産対策などで再加入すること自体は制限されないものと思われる。

 なお、今回の内容は、まだあくまで大綱段階であり、国会を通過するまでは最終決定ではないため、ご注意頂きたい。
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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