国民健康保険加入者の産前産後期間の保険料免除制度

森田 和子
2024.01.18

 2024年から、国民健康保険でも産前産後の保険料が免除され、自営業やフリーランスとして働く人が出産する時の保険料負担が軽減されます。
会社員にはあり、自営業者にはなかった保険料免除
 会社員や公務員が出産する時には、産前産後休業と育児休業期間中に厚生年金保険と健康保険の保険料が免除される制度が以前からありました。一方、自営業やフリーランスの保険料免除は、国民年金のみとなっていましたが、2024年1月からは、国民健康保険についても免除されるようになります。

 これは2023年に成立した「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」によるものです。

 国民健康保険に加入する人が出産する時には、その年に納める保険料の所得割額と均等割額から、出産予定日(または出産日)の前月から4ヵ月間相当分が減額されます。対象になるのは、早産、流産、死産を含む妊娠85日(4ヵ月)以上の出産です。多胎妊娠の場合は、出産予定日(または出産日)の3ヵ月前から6ヵ月間の保険料が免除されます。
出産予定日の半年前から届出可能
 この制度の対象になるのは、2023年11月以降に出産した国民健康保険の被保険者です。所得制限はありません。市区町村の窓口で、出産予定日の6ヵ月前から届出することができ、出産後に届出することもできます。ただし、免除の対象になるのは2024年1月以降なので、例えば2023年12月に出産した人については、2024年1月と2月分の保険料が免除されます。

 これにより、自営業やフリーランスの産前産後についても、国民年金と国民健康保険料の負担がともに軽減されることになりましたが、育児休業期間中の保険料が免除される会社員と比較すれば、免除の期間の上限は短いといえます。現在、国民年金の保険料免除期間を延長することが検討されているようなので、さらなる改正が待たれます。
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

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