従業員等や取引先へ災害見舞金等を支払った場合

今村 京子
2024.01.25

 令和6年能登半島地震により、犠牲となられた方に深い哀悼の意を表します。被害を受けられた皆様方に心からお見舞い申し上げます。被災された地域の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
従業員等に支給する災害見舞金品
 法人が、被災した自己の従業員等に支給する災害見舞金品が福利厚生費として取り扱われるためには、その支給が、①被災した全従業員に対して被災した程度に応じて支給されるものであるなど、各被災者に対する支給が合理的な基準によっていること、②その金額もその支給を受ける者の職制上の地位等に照らし被災に対する見舞金として社会通念上相当であるなどの「一定の基準」に則ったものであることが必要である。また、「一定の基準」については、あらかじめ社内の慶弔規程等に定めていたもののほか、今回の災害を機に新たに定めた規程等であっても、これに該当する。

 また、既に退職した従業員や採用内定者に対する災害見舞金品であっても、被災した自己の従業員等と同一の基準に従って支給するものは、福利厚生費として損金算入される。

 一方、個人が心身または資産に加えられた損害につき支払いを受ける相当の見舞金(役務の対価たる性質を有するものを除く)については、所得税は課されない。法人が被災者の所有資産の損害の程度(全壊、半壊、床上浸水、床下浸水など)に基づき見舞金の支給額を定めるなど、損害の程度に応じて一定の基準をもって見舞金の支給額を定めている場合には、「相当の見舞金」に該当すると考えられるため、給与として源泉徴収する必要はない。
取引先に対する災害見舞金
 被災した取引先に対する災害見舞金が交際費等に該当しないものとして取り扱われるのは、それが被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧過程において支出されるものであり、慰安・贈答のための費用というより、むしろ取引先の救済を通じて自らが被る損失を回避するための費用とみることができるからである。

 したがって、法人が災害見舞金を支出するに当たって、その取引先の被災の程度、取引先との取引の状況等を勘案した相当の災害見舞金であれば、その金額の多寡は問わない。また、その取引先から領収書の発行を求め難い状況であれば、法人の帳簿書類に支出先の所在地、名称、支出年月日を記録しておく必要がある。

 一方、法人が被災に伴って受けた見舞金について、法人税法上益金の額に算入する。
参考:
今村 京子(いまむら・きょうこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。
平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。
年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で娘2人。趣味は英語学習とガーデニング。

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