M&A、明暗分かれる“資料の準備”とは
2025.07.17
M&A(第三者承継)を行う際、M&A業者に支援依頼していたとしても、依頼者マターで資料の準備が必要なポイントがある。そこで手を抜いてしまうと、売手の場合は譲渡価額に影響することもあれば、買手の場合は最終契約への土俵にも上れない可能性も出てくる。今回はM&Aにおいて売手・買手マターで準備が必要な資料(一例)に重点を置いてお伝えする。
基本的なM&Aの流れ
まず、基本的なM&Aの進み方は、下記となる。
「中小M&Aガイドライン(第3版)」の「中小M&Aフロー図」をもとに著者作成
※
クロージング(決済)は、中小企業におけるM&Aの最終段階であり、株式等の譲渡や譲渡対価の支払いを行う。
M&A業者に仲介・FA(ファイナンシャル・アドバイザー)として入ってもらうことで、進行の段取りやアドバイス等の助力を受けることができ負担も軽減されるが、売手は譲渡条件や譲渡価額などを決めるバリュエーション(企業や事業の価値評価)の段階で自社の資料を、買手は基本合意の締結前の段階で譲り受けの際の暫定的な希望条件等を表明するために用いられる意向表明書という資料を準備する場合がある。
売手は「バリュエーションでの根拠となる資料」
M&A専門家によるバリュエーションの際、会社や事業の価値算定のため、多種多様な資料を求められる可能性がある。
業種・規模・雇用状況・資格など事業内容により違いはあるが、概ね求められる資料の一例が下記となる。
業種・規模・雇用状況・資格など事業内容により違いはあるが、概ね求められる資料の一例が下記となる。
決算書3期分/会社案内、製品・サービスのカタログ、資産一覧/定款/従業員名簿・賃金台帳/就業規則等/重要な契約書、許認可等/借入金に関する資料/リース契約/賃貸借契約書/不動産登記簿謄本 など
価格を左右する大切な資料の場合もあるため、M&A業者から指示を受けた資料は、くれぐれも出し忘れ・重要事項の伝え忘れ等なきようご注意頂きたい。
買手は「他買手候補と競争となった場合の意向表明書」
基本合意の締結では、選ばれた買手候補1社だけに独占交渉権が与えられ、次のステップに進むことができる。そのため、基本合意締結の前、交渉の段階で、他買手候補と競争となった場合、「意向表明書」の提出を求められる場合がある。なお、買手候補が1社の場合、意向表明書は省略されることが多い。
意向表明書とは、買手が、譲り受けの際の暫定的な希望条件等を表明するために提出する書面で、売手は本資料の内容を選定の際に参考にする。
一般的に記載することが多い項目は下記となる。
意向表明書とは、買手が、譲り受けの際の暫定的な希望条件等を表明するために提出する書面で、売手は本資料の内容を選定の際に参考にする。
一般的に記載することが多い項目は下記となる。
買手の企業概要/M&Aの目的/M&Aスキーム/買収価格と算定根拠・価格修正要因/買収資金調達方法/譲渡側企業の役員・社員の処遇/M&A後の経営方針/M&Aスケジュールの要望/デュー・ディリジェンス※に関する記載/独占交渉権の明記/意向表明書の有効期限/法的拘束力 など
※
デュー・ディリジェンスとは、対象企業である譲り渡し側における各種のリスク等を精査するため、主に譲り受け側がFA や士業等専門家に依頼して実施する調査をいう(「中小M&Aガイドライン(第3版))」より)。
他買手候補よりも自社を評価・選んで頂くため、譲り受けの条件を伝えるだけではなく、熱意を伝えることも大切だ。同時に、売手へのリスペクトを忘れず、心情に配慮した文章作成を心がけて頂きたい。
上記は売手・買手にとって大切な工程だ。悔いのないM&Aとなるよう、資料の準備は入念にされることをお勧めする。
上記は売手・買手にとって大切な工程だ。悔いのないM&Aとなるよう、資料の準備は入念にされることをお勧めする。

山崎 美穂(やまざき・みほ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
栃木県出身。一般企業で経理・総務を経験し、現法人へ。企業で役立つ支援策・補助金等の最新情報を収集、お役立ち情報としてSNSやホームページで発信中。
趣味は釣りと食べ歩き。
栃木県出身。一般企業で経理・総務を経験し、現法人へ。企業で役立つ支援策・補助金等の最新情報を収集、お役立ち情報としてSNSやホームページで発信中。
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