産後パパ育休と社会保険料の免除

三角 桂子
2024.01.25

 2022年10月から施行された「産後パパ育休(出生時育児休業)」が注目されています。男性の育児休業取得促進のため、男性が子の出生時に育休を取得できる制度です。

 産後パパ育休は、子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として取得でき、2回に分けて取得も可能です。取得の際、一定の要件を満たすと、雇用保険からは「出生時育児休業給付金」の支給を受けることができ、さらに「健康保険・厚生年金保険の保険料免除」が事業主負担分・被保険者負担分ともに受けることができます。

 今回は、この中の社会保険料免除制度についてお伝えします。育児休業を取得しても社会保険料が免除されないこともあるので注意が必要です。
育児休業中の社会保険料免除要件
 育児休業とは、原則1歳未満のこどもを養育するための休業です。産後パパ育休は、1歳までの育児休業制度とは別に、子の出生後8週間の期間内に4週間以内の休業を取得できる制度です。就労しながら分割取得が可能となり、育児休業が柔軟に取得できるようになりました。

 また、2022年10月から育児休業中の社会保険料の免除要件が見直され、月の就労日数や月末の育児休業の取得状況で社会保険料の免除が可能かどうか変わってきます。さらに、毎月の給与から控除される月額保険料と賞与から控除される賞与保険料とでは免除の要件は異なります。
Point1 月額保険料は月末または14日
 月額保険料の免除の原則は、育児休業等を開始した日の属する月から終了する日の翌日が属する月の前月までとなります。社会保険は月単位で考えるため、月の末日に育児休業しているかどうかで、その月の保険料が免除されるかどうかが決まります。

 しかしながら、産後パパ育休は短期間での取得となるため、月末まで育児休業しない場合があります。その場合、育児休業等を開始した日の属する月内に、14日以上の育児休業等を取得すると、その月の月額保険料が免除されます(土日等の休日も期間に含む)。
※斜線部分が保険料免除月
出典:
Point2 賞与保険料は1ヵ月超
 賞与保険料は、賞与を支払った月の末日を含んだ連続した1ヵ月を超える育児休業等を取得した場合に免除されます(土日等の休日も期間に含む)。
※斜線部分が保険料免除月
 産後パパ育休や育児休業の分割取得ができるようになりましたが、社会保険料の免除には、育児休業の期間や取得のタイミングが重要です。
まとめ
 産後パパ育休は、子の出産予定日からでも取得可能です。さらなる男性の育児休業の利用促進を図るのであれば、制度をよく理解し、雇用保険の制度と併せて利用できるといいですね。
参考:
三角 桂子(みすみ・けいこ)
社会保険労務士法人エニシアFP 代表社員
FP・社会保険労務士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルとあらゆる立場を経験し、FPと社会保険労務士として開業し、5年目に法人化(共同代表)。
FPと社会保険労務士の二刀流を強みに、法人・個人の労務、年金の相談業務やセミナー、執筆など、幅広く行っている。
常に自身の経験を活かし、丁寧な対応を心がけ、生涯現役に向かって邁進中。
法人名はご縁(えにし)に感謝(ありがとう)が由来。

公式サイト https://sr-enishiafp.com/

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