自分のために、家族のために、エンディングノートを書く

西海 重尚
2024.01.29

そもそもエンディングノートとは
 エンディングノートとは、自分が亡くなったとき、あるいは病気や認知症などで判断力が衰えてしまったときに備えて、必要な情報や希望を書いておくノートである。エンディングノートと似たものに遺言書がある。エンディングノートや遺言書は、自分が亡くなった後に遺族が困らないように書いておくためのものであるが、位置付けが異なる。遺言書は、自分が亡くなったときに備えて、遺産の分け方などを書いておくものである一方、エンディングノートは、遺言書のような法的効力はなく、自分の情報の伝達のために書いておくものである。
エンディングノートに書くこと
 エンディングノートに書くことは3つある。「自分のこと」「財産のこと」「終末期や死後のこと」である。
①自分のこと
氏名、生年月日、住所、本籍地などの個人を特定できる情報
認知症になったり亡くなったりしたときに、自分のことを知ってもらう手がかりとなる
これまでの歩み
自分の人生を振り返ることで、これからのライフプランを考えるきっかけとなる
親族や交友関係
自分にかかわる人の氏名や連絡先、自分との関係を記したリストや家系図を作成しておくことで、病気で入院したときや亡くなったときに、誰に連絡してもらいたいのかがわかる
医療や介護の情報
病歴や入院歴、投薬のことを書いておけば治療を受けるときに役立つ
また認知症などで介護が必要になったときに、誰に、どのような介護を頼むのかを書いておけば適切なケアが受けられる
②財産のこと
預貯金、有価証券、保険、年金、不動産、借入金、ローンなど
どのような財産を持っているのか、借金の状況など、相続が発生したときに遺族が困らないよう、正確な保有財産を明確にしておく
③終末期や死後のこと
医療の希望
告知や延命治療などについての希望を知ってもらう
お葬式やお墓の希望
最近ではいろいろなスタイルがあるので、希望を知ってもらう
伝えておきたいこと
その他、家族や親族、親しい友人に伝えておきたいことを記しておく
エンディングノートを書くときの注意点
 エンディングノートを書くにあたり決められたルールというものはなく、自由に書くことができるが、次のことには注意したい。
法的な効力がないため強制力はない
エンディングノートには法的な効力がないため、遺産分割については法的な効力がある遺言書を作成する
時間の経過とともに書いた内容が変わることがあるので定期的に見直す
自分の想いは時間の経過とともに変わっていくものなので、エンディングノートは一度書いたら終わりとせずに、定期的に内容を見直すことが大切
重要な個人情報が書かれているので悪用されないように保管場所に注意する
エンディングノートには財産のことなど他人に知られたくない重要な情報がたくさん記載されているので、しっかりと保管しておく必要がある
西海 重尚(にしうみ・しげひさ)
西海FP事務所 代表
CFP®認定者、1級 ファイナンシャル・プランニング技能士、公的保険アドバイザー、終活アドバイザーなどの資格を保有。

慶應義塾大学 経済学部卒。
33年間のサラリーマン生活において大手損害保険会社、生命保険会社、FP系出版社に勤務。
現在は独立系FPとなり、保険のアドバイザーとして活動中。

自己紹介用ホームページ https://fuku29390fpo.com

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