国民年金の学生納付特例制度について

森田 和子
2024.02.08

 20歳になると、「国民年金加入のお知らせ」が届きます。保険料の納付書が同封されますが、どうすればよいのかわからないという声も聞かれます。よくわからないからそのまま置いておく、いつの間にか捨ててしまったということにならないようにしましょう。
20歳になったら国民年金
 国民年金は公的な保険制度で、20歳になると加入し、60歳になるまで保険料を納付しなければはなりません。国民年金によって、老後には年金を受け取ることができ、障害が残った場合には障害年金を受け取ることができます。死亡した場合の遺族年金もあります。特に老後の年金は、保険料を納めた期間によって金額が変わるので、納め忘れのないようにしたいものです。

 しかし、保険料は毎月16,520円(2023年度)なので、支払うのが難しいかもしれません。学生には、特別に保険料の納付を猶予してもらえる「学生納付特例制度」があるので、利用を検討してみましょう。

 利用できるのは、この制度の対象になる学校(※1)の学生で、学生本人の所得が一定以下(128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等)の人です。
※1:
大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および各種学校、一部の海外大学の日本分校、夜間・定時制課程、通信課程を含む
申請手続きができる学校もある
 制度を利用するには申請が必要です。自治体の国民年金担当窓口や年金事務所の他に、学校が代行事務の許認可を受けていれば、学校でも申請できます。自分の通う学校が、学生納付特例制度の対象になっているか、事務代行を行っているかは、日本年金機構のホームページでも確認することができます。
追納は10年以内
 猶予された保険料は、10年以内であれば後から納めること(追納)ができます。義務ではありませんが、追納しなかった月数に応じて老後に受け取る年金が減ることになります。保険料には、承認を受けた翌年度より3年度目以降から経過期間に応じた加算額が上乗せされるので、早めに追納した方がお得です。

 もしもアルバイトなどの収入から無理せずに納付できるのであれば、もちろん、学生のうちに納付しても構いません。社会保険料控除の対象になるので、本人の税金が軽減されます。また、子供の国民年金の保険料を親が支払った場合には、親の税金が軽減されます。状況にあった方法を選ぶようにしましょう。
参考:
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

ライフプランシミュレーションとマイホーム・老後の資金計算
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