えっ? 我が家は耐震性が高いから地震保険はいらない?

水谷 力
2024.03.28

能登半島地震による甚大な被害
 令和6年は元日から最大震度7の「令和6年能登半島地震」に見舞われました。被害は、能登半島のある石川県のみならず、新潟県、富山県、福井県までおよぶ広範囲です。

 これらの地域では、強い揺れや津波、地震火災による被害が発生し、甚大な被害が発生しました。

 倒壊した家屋や火災で焼失した建物、津波で流された家屋などの悲惨な映像を目にすると、生活再建の険しさを思わずにいられません。そのような状況になったとき、生活再建の手助けになってくれるものがあります。
耐震性が高いから地震保険はいらない?
 それは、地震保険です。

 ところが、中には「我が家は耐震性が高いから地震保険はいらないのでは?」という方もいらっしゃいます。確かに、耐震性が高ければ地震による倒壊リスクは軽減できると思われます。その点は心強いといえます。しかし、地震による被害は建物の倒壊だけではありません。地震の時は火災も発生する可能性があります。実際、国土交通省などによる調査によると、1月1日に輪島市河井町(朝市通り)で発生した大規模な市街地火災の焼失区域の面積は約50,800㎡、区域内に含まれる建物の数は約300棟と推定されています。この火災も含めて、この地震による住宅の火災は、合計16件(富山県5件、石川県11件)発生しています。

 このような地震による火災の場合、自分の家が出火しなかったとしても付近の建物から出火し、それが延焼してくる可能性があります。また、今回の地震でもそうでしたが、地震により道路網が寸断されたり、消火栓が断水などで使えなくなったりすれば、十分な消火活動は期待できなくなります。

 このような地震による火災の場合は、火災保険による補償は原則として受けられません。つまり、どんなに耐震性が高くても、地震による火災によって焼失などの被害を受けた場合は、地震保険に加入していなければ原則として補償を受けられないということになります。
やはり、生活再建のためには地震保険金が心強い
 そもそも地震保険は、地震による被災者の生活の安定を図るための保険です。地震による被害が所定の条件を満たせば保険金を受け取ることができ、これを生活再建の費用に充てることができます。ただし、地震保険は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的としているので、火災保険と異なり、それだけで住宅の再建築ができるほどの金額の補償とはなっていません。それでも、被災したときに地震保険金としてまとまった金額を受け取ることができれば心強いのではないでしょうか。また、最近では、地震保険に加えて、保険会社独自の地震による損害の補償を最大50%まで上乗せできて、合計で100%の補償を確保できる特約を用意している保険会社もあります。

 地震のリスクとそれへの対処方法は、日ごろから検討しておくことが大切です。
【参考情報】
生命保険の募集人の方は、上記のような損害保険の話から生命保険の話につなげることも可能です(詳しくは以下の書籍が参考になります)。地震保険の話題からのアプローチトークも収録されています(第2章7話地震が起こると言われているけど、地震保険には入った方が良いの?)。
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水谷 力(みずたに・ちから)
株式会社セールス手帖社保険FPS研究所
社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
組織開発コンサルタント

大手保険会社在職中にFP資格やコーチング資格等を取得。現在は各種執筆活動などをおこなっている。著書には、「違いを生み出すファーストアプローチ」「違いを生み出す生損保リスクチェック」(いずれもセールス手帖社保険FPS研究所)がある。

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