年金手帳から基礎年金番号通知書へ

三角 桂子
2024.04.18

 皆さんは年金手帳を持っていますか。

 2022年3月までに被保険者資格の取得手続きをし、初めて年金制度に加入された人は、「年金手帳」を持っていることでしょう。この年金手帳の役割が2022年4月から「基礎年金番号通知書」に代わりました。
年金手帳を複数持っている人がいるのはなぜ?
 その昔、年金手帳は加入する年金制度や加入時期によって交付されるものが異なっていました。厚生年金保険に加入すると「厚生年金被保険者証」が発行され、国民年金に加入すると「国民年金手帳」が発行されていました。年金手帳の色はさまざまで、資格取得の時期により茶色、水色、薄橙色などがあります。

 よく見かけるオレンジ色の年金手帳は1974(昭和49)年11月から1996(平成8)年12月までに被保険者資格の取得手続きをおこなった人に発行され、青色の年金手帳は1997(平成9)年1月から2022(令和4)年3月までに被保険者資格の取得手続きをおこなった人に発行されています。

 高齢者の年金相談では、複数の年金手帳を持参される方が少なくありません。転職の都度、新たに別の記号・番号が記載された年金手帳の交付を受けたためです。また、国民年金手帳は国民年金保険料を納付すると国民年金印紙が貼付されていました。
年金手帳から基礎年金番号へ
 1997(平成9)年1月に、「基礎年金番号」が導入され、転職や退職などで加入する年金制度が変わっても、加入記録を1つの番号にまとめて管理することになりました(共済年金を含む)。この基礎年金番号により、年金手帳を複数冊持っている人であっても、基礎年金番号で1つにつなげることができるようになりました。ただし、記録の統合がされなかった場合等には、年金手帳によりその人の大切な記録が確認できることがあります。これから発行されなくなるとはいえ、今ある年金手帳も将来役にたつことがあるかもしれません。

 その後、2016(平成28)年1月1日よりマイナンバー制度が導入され、マイナンバーと基礎年金番号の紐づけがすすむと、しだいに年金手帳の必要性は薄れてきました。

 そして、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」により、2022(令和4)年4月から、年金手帳は廃止され、基礎年金番号通知書へ切替えとなり、同年4月1日以降に新たに国民年金第1~第3号被保険者には年金手帳の代わりに「基礎年金番号通知書」が交付されています。
再交付を希望するときは
 2022年4月1日から、年金手帳は再発行が行われておりません。仮に年金手帳の再発行を希望された場合でも、基礎年金番号通知書が年金手帳の代わりに交付されることになります。

 基礎年金番号通知書の再交付を希望する際は、現在加入している、または最後に加入していた制度によって申請先が異なります。

 年金手帳は廃止されましたが、当時の大切な加入記録です。万一、受給できる年金額が予想より低かった場合など、記録回復の大切な手段となりますので、捨てずに大切に保管しておいてください。
参考:
三角 桂子(みすみ・けいこ)
社会保険労務士法人エニシアFP 代表社員
FP・社会保険労務士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルとあらゆる立場を経験し、FPと社会保険労務士として開業し、5年目に法人化(共同代表)。
FPと社会保険労務士の二刀流を強みに、法人・個人の労務、年金の相談業務やセミナー、執筆など、幅広く行っている。
常に自身の経験を活かし、丁寧な対応を心がけ、生涯現役に向かって邁進中。
法人名はご縁(えにし)に感謝(ありがとう)が由来。

公式サイト https://sr-enishiafp.com/

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