従来の健康保険証は12月2日で廃止、マイナ保険証に一本化

庄司 英尚
2024.04.22

国は、マイナンバーカードを健康保険証に利用してほしい
 マイナ保険証(マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせたもの)が登場してから2年以上経過し、国も利用促進にかなり力を入れてきたが現状はなかなか普及していない。この3月の利用率はわずか5.47%だ(4月9日の武見敬三厚労相記者会見)。

 そんな中、昨年12月に、令和6年12月2日に従来の健康保険証を廃止、以降は新規交付・再発行を行わないことを閣議決定した。これにより健康保険証等はマイナ保険証に一本化されることになる。

 国民にとってもまだまだマイナ保険証は不安なことも多く気になるところであるが、一方でマイナ保険証を利用するメリットもたくさんあるので、今後の対応や経過措置等についてポイントだけまとめてお伝えする。
マイナ保険証は、スマホからも初回登録が可能
 マイナンバーカードを健康保険証として利用するには、初回登録(生涯1回のみ)が必要である。登録には、マイナンバーカード、数字4桁の暗証番号(利用者自身がマイナンバーカードを市区町村窓口での受取りの際に利用者証明用電子証明書に設定した数字4桁のこと)、マイナポータルアプリをインストールしたマイナンバーカード読取対応のスマートフォン(またはICカードリーダー付きパソコン)を用意し、マイナポータルアプリを立ち上げれば、保険証等利用登録の申し込みができる。

 マイナンバーカード読取対応のスマートフォンやICカードリーダー付きパソコンがなくても、顔認証付きカードリーダー設置の医療機関・薬局、市区町村の住民向け端末(マイナポータル専用端末)、セブン銀行のATMで初回登録ができる。

 マイナ保険証は、「マイナ受付」のステッカー・ポスターが貼ってある医療機関・薬局で利用できる。来院したときには顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置いて本人確認や同意取得など画面に従って進めていくと受付が完了する。
マイナ保険証の利用は、よりよい医療につながる
 マイナンバーカードを健康保険証として利用することのメリットとしては、まず薬や特定健診の情報がマイナポータルで閲覧できるようになることで、被保険者本人及び病院等にとってよりよい医療につながる。また、高額な医療費が発生しても、マイナ保険証対応の医療機関窓口であれば「限度額適用認定証」がなくても高額療養費の自己負担限度額を超える支払いが免除される。

 他にも、医療費控除のための領収証の保管・提出が必要なくなり、確定申告が楽になる。就職・転職・引っ越しをしても新しい健康保険証の発行を待たずにそのまま使えるので便利だ。国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している方は、定期的な被保険者証の更新も不要となり、高齢受給者証の携帯も不要となる。

 なお、マイナ保険証を保有するようになっても、従来の健康保険証でこれまでどおり医療機関等を受診することは可能だ。従来の健康保険証は、経過措置によって令和6年12月2日以降最長1年間は引き続き使用できる(ただし、その期間内に当該健康保険証が有効期限を迎えた場合は期限まで)。令和6年12月2日以降にマイナ保険証を保有していなくても健康保険証の代わりとなる「資格確認書」が交付されるので安心していただきたい。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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